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医療レポート 病院だからできる虐待の発見 取材協力/海老名総合病院 虐待対策委員会
厚生労働省の発表によると2010年度(平成22年度)の虐待対応件数は、東日本大震災の影響による福島県を除くと5万6384件に上り、統計を取り始めてから毎年増加を辿り、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べて約4・8倍に増加している。そのような環境の中、海老名市を含めた県央域の急性期病院として中核的な役割を担う海老名総合病院(内山喜一郎病院長)に、虐待事例を専門的に扱う委員会があると聞き、その活動内容などを詳しく聞いた。
「多くの目」で虐待を未然に防ぐ
――委員会のメンバーについてお聞かせください
同院の虐待対策委員会は平成21年に立ち上がり、現在は月1回会合を開いています。メンバーは委員長に小児科の岩波直美医師、放射線科の渡潤医師、形成外科医、小児外来・小児病棟・マタニティセンター・救急外来の看護師、ソーシャルワーカー、事務の11名で構成しています。会ではそれぞれのケースを報告し検証しています。放射線科医がメンバーにいるのは、写真で虐待の状態を判断できる場合があるからです。
――立ち上げのきっかけは
委員会が立ち上がる前は虐待やその疑いがあった場合に外来、病棟、救急など当該科の医師やソーシャルワーカーが個別に対応していました。しかし一個人の判断で見過ごしてしまうことを防いだり、第三者の立場で検討し、虐待にあたるか、あたるのであればどう対応すべきか判断する目的で立ち上げた機関です。またその頃から高齢者の虐待も増えてきたのも理由の一つです。各部署から委員が選ばれていますので、情報を共有化でき、横の連携が強化され、それぞれの事例に病院として対応できるようになりました。また委員会が院内で啓蒙活動を行うことで、医療従事者の虐待への関心も高まりました。
――多くの目で虐待が発見できるということですね
はい。当委員会は虐待や虐待の疑いを早期に発見し、対応・治療することが役割です。相談所ではないので、訪問して指導したりすることはできませんが、市や保健所などのしかるべき場所に報告し連携して対処しています。あくまで当院にかかった患者さんに限られますが、育児への不安などさまざまな悩みを聞き虐待解決を目指します。虐待はする側も苦しんでいるので早く気付いてあげることが必要です。
虐待は決して「特別な事」ではありません
――たとえばどのようなことが考えられますか
マタニティセンターにかかった妊婦さんで、育児に不安を持つお母さんに対して、マタニティセンターだけで解決せず、生まれた後に小児科医とも情報を共有し見守ることができます。
――虐待は海老名でも増えているのですか
虐待はテレビの世界だけではありません。テレビの報道では亡くなった事例など目立つケースばかりですが、けがなど小さな「芽」はたくさんあります。そうした芽を摘むのが大切です。誰でも虐待に陥る可能性は秘めています。高齢者の介護の場合、「お風呂に入れない」「適切な食事を与えない」なども虐待ですし、ついストレスで叩いたら骨折してしまったということもあります。決して特別ではないということを知っていただきたいです。
――今後、どのような活動をお考えですか
虐待を早期に発見するのは医療機関の責務です。
【1】虐待を未然に防ぐこと。【2】被虐待者の心身の安全を確保し守ってあげること。【3】虐待者の問題を一緒に考え再発を防ぐこと。
以上の3つを理念に活動していきたいと考えています。
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