鉄道駅やバス停から離れた、いわゆる「交通不便地域」の解消策として海老名市内では4つのルートで運行されているコミュニティバスに関し、市は受益者負担と公費バランスなどに基づいた運行継続判断基準などを盛り込んだ「運行ガイドライン」を策定した。利用者からは「廃止へ向けたプロセスでは」という声も聞かれるが、市駅周辺対策課では「限られた財源の中で継続的に運行していくための指針」としている。
同市におけるコミバス事業は2003年から試験運行が始まった。現在は本格運行へ移行している国分、上今泉への路線のほか、試験運行中の大谷・杉久保、本郷地域の交通手段確保対策として4路線を運行している。
地域の「足」として定着している路線もあるが、試験運行中の本郷ルートではルート変更やバス停の新設などの改善策を施したものの、利用者数が伸び悩んでいるのが実態だ。
コミバスは民間バス事業者が採算性が見込めず運行していない地域を走るため、運賃収入で運行経費を賄うことは難しい。現在、同市のコミバスは相鉄バスに委託する形で運行。この運行委託費用などの運行経費から運賃収入などを差し引いた額が公費負担額となる。
今回、市が策定したガイドラインには運行を継続するための判断基準が示されている。運行を継続するための条件として明示されているのは2つ。1つは各路線の年間運行実績が公費負担率60%未満であること、2つめは路線全体の年間の運行実績が公費負担率50%未満であることとなっている。
2つの条件が2年続けて満たされなかった場合、本格運行路線(国分ルート、上今泉ルート)は休止または廃止に、試験運行路線(大谷・杉久保ルート、本郷ルート)は運行が終了することとなる。
昨年度公費負担率
4つの路線が年間を通して運行した11年度のそれぞれの公費負担率をみると、国分、上今泉、大谷・杉久保ルートについては60%未満で運行を継続する条件を満たしている。しかし本郷ルートに関しては83・1%。
路線全体では55・7%という負担率となる。今年度も1月時点で、この数字に大きな変化はない。
「代替手段を確保した上で」
ガイドラインの施行は4月1日だが、市担当によると「社会福祉協議会が運行している福祉車両『ぬくもり号』の運行など、代替手段が確保された場合」とした上で、「11年度、12年度の数字を判断基準に当てはめるケースも考えられる」と話し、本郷ルートの試験運行が来年度早々にも終了する可能性も示唆した。
今月4日、本郷ルートの中新田バス停でバスを待っていた70歳代の女性は「毎週、病院に通うためにバスを使っている。このバスが無くなってしまうととても困る」と話した。
|
|
|
|
|
|
<PR>
海老名・座間・綾瀬版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>