鉄道駅やバス停から離れたいわゆる「交通不便地域」の解消策として、海老名市が運行しているコミュニティバス事業で、海老名駅と本郷コミュニティセンターを結ぶ「本郷ルート」の運行を終了する方向性で検討が進められている。
市内では現在、本郷ルートを含め4つの路線でコミュニティバスが運行されている。「地域の足」として定着し、一定の乗車数を持つ路線がある一方で、本郷ルートではルート変更やバス停の新設など改善策を講じたものの、2010年7月の試験運行開始以来、利用者数が伸び悩んでいる。
市は昨年度中に受益者負担と公費バランスなどに基づいた、運行継続判断基準などを盛り込んだ「運行ガイドライン」を策定。4月1日から施行した。
ガイドラインに示されている運行を継続するための判断基準は2つ。1つは各路線の年間運行実績が公費負担率60%未満であること、2つめは路線全体の年間の運行実績が公費負担率50%未満であること。
この2つの条件が2年続けて満たされなかった場合、代替となる輸送手段を確保した上で、本格運行路線(国分ルート、上今泉ルート)は休止または廃止に、試験運行路線(大谷・杉久保ルート、本郷ルート)は運行が終了することとなる、と定められている。
行政の負担額は年1800万円
市駅周辺対策課によると本郷ルートの年間運行経費は2200万円程度。運賃収入は11年度が約370万円、12度年度は約420万円だった。
公費負担額は2年間とも1800万円を超える状況で、率に換算すると11年が83・1%、12年度は81・2%。全体でも50%を超えていたため、ガイドラインの「運行継続条件を満たしていない状況」にあった。
民間バスと「ぬくもり号」
市はすでに代替輸送手段の確保へ向けた調整を進めている。
民間バス事業者に対し、本郷地区を経由するバス路線の新設を打診しているほか、高齢者や障がいを持つ市民を対象に市社会福祉協議会が運行する福祉車両「ぬくもり号」でバス路線から遠い地域を補完したい考え。
内野優市長は市議会6月定例会の中で、「予約に応じて車両を運行するデマンド方式を社協に提言する」と発言するなど、本郷地区の「新たな足」について考えを示した。
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