全国的な感染者の増加にともない、地域のクリニックでのPCR検査数も大幅に増加している。
綾瀬市のきくち総合診療クリニックでは昨年6月から、濃厚接触者でもなく、症状がなくても受けられる検査体制を整備。検査数は10月は69件、11月143件、12月は286件と右肩上がりに増え、1月も1日平均30件と12月を上回るペースで推移している。新年最初の診察日だった1月4日は、診療時間前に20メートル以上の行列ができたこともあった。「列を見たときは驚いた。今は、その日に比べれば落ち着いてきている」と菊池大和理事長は話す。
かかりつけ医の使命
風邪や発熱の症状がある人はもちろん、「濃厚接触者にはあたらないと言われたものの、身近な人が陽性者になったので不安」、「仕事の出張や帰省前にチェックしたい」など検査を受ける理由は様々。条件なく誰でも検査が受けられるようにした理由について菊池理事長は「かかりつけ医とは本来、どのような体の不調や健康への不安でも頼られる存在でなくてはならない。コロナも病気の一つなのだから避けては通れない」と話す。
同院では誰にとっても受診しやすいよう、夜間や日曜、祝日にも診療を行う。保健所や他医院からの紹介もあり、周辺地域からや、会社単位での検査も増えてきた。同院は総合診療クリニックとして、内科、外科、心療内科など幅広く診療しているが、発熱者とそうでない患者との診察時間を明確に分けることで対応できている。
日々診察する中で「まだまだ感染症対策への意識が低い人がいる」と菊池理事長は警鐘を鳴らす。検査を受ける人の中には、飲み会に参加した人や、体調が悪かったが無理して出勤していた人もいるという。
総合病院での救急医の経験もある菊池理事長は「県の医療体制は大変な状況にある。少しでも体調が悪かったら休む、マスクなしの会話はしないなど、常に自分が感染しているかもしれないという意識を持って生活してほしい。そして少しでも不安があるのであれば、検査に対応している医療機関に相談してほしい」と訴えた。
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