相模が丘の住宅地を縫うように南北1・6Kmにわたってのび、桜が楽しめる緑道として半世紀近く親しまれてきた「相模が丘仲よし小道」。地元有志と座間市が4カ年計画で進めてきた整備工事が今年3月に完了する。古くなった桜の倒木の危険性が指摘され、住民が再生の道を模索し始めてから約8年。「新生さくら道」の完成が、いよいよ間近に迫った。
「相模が丘は今でこそ住宅地だけど、昔は原っぱが拡がっていた」。そう話すのは、市民団体「新生さくら道」の会の坂本文彦会長。道の管理や手入れを手掛けるNPO法人さくら百華の道の理事長も務め、再生の牽引役だ。
緑道はもともと、戦後に食糧増産のために作られた農業用水路。この水路の土手に1963年頃、自治会や消防団などが、染井吉野を植えたのが始まりだった。1974年には住民によって「相模が丘さくら保存会」が結成され、その翌年には現在まで続く「さくらまつり」がスタート。緑道は、通勤・通学路として、憩いの場として、地域のシンボルとなっていた。
しかし植樹から約40年が経つと、桜の多くは老木となり、内部が空洞化。2007年には台風によって倒木し、近隣住民の生活に影響が出た。
こうしたなか2008年、「相模が丘さくら保存会」を引き継ぐ形で発足したのが、「新生さくら道」の会だ。同会は、桜並木存続を望む声が8割を占めた住民アンケートを受けて、市や「(公財)日本花の会」と再生構想を練り、実施計画を策定。本格的に再生に取り掛かった。
2011年度からは同会と市が協力し、1・6Kmを4区画に分けて再生事業を進めてきた。現在は第4工区の工事中で、2月末には完成する見込みだ。
「誇り」と言える緑道が完成へ
完成した緑道には、早咲きから遅咲きまで、64品種220本の桜が並び、2月末から5月中旬まで観賞することができる。多品種の桜を楽しめる公園はあるが、1本の緑道に64品種が植えられているのは、県内では初だという。同会では観光資源としての活用も視野に入れており、地域住民から希望者を募って、ボランティアガイドも育成中だ。また、緑道内にはベンチやトイレが設置されているほか、交差する道路との段差も解消されており、「誰もが歩きやすい道」(坂本会長)になっている。
工事終了まで残り2カ月あまり。3月15日には記念式典も開催予定で、関係者は準備に追われている。
再生事業を引っ張ってきた坂本会長は、「地域の皆様の知恵と力、行政の協力によって、荒廃していた道が立派な姿に変わりつつあります。感無量」とコメント。さらに、「相模が丘の住民にとって、『誇り』と胸を張って言える緑道。多くの人に訪れて欲しい」と呼びかけている。
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