市内座間でクリーニング店を営む神山宏さん(68)がこのほど、エッセイ集「ランドリーの片隅から」(発行所/(株)冬花社)を出版した。「洗濯」に関する内容だけでなく、祖父や父から聞いたというキャンプ座間にまつわるエピソード、終戦間もない頃の庶民の暮らしぶりなどを盛り込んだ構成。神山さんは「昔のことを語れる人が少なくなった。地域の『生き証人』として、当時の出来事を伝えられれば」と話している。
神山さんは、明治40年創業の「(有)神山クリーニング」の3代目。現在は、4代目の息子さんらと店を切り盛りしている。
同店は戦前まで都内で営業していたが、戦争による強制疎開に伴って家族で座間に移り住んだ。戦後、家の近くにあった陸軍士官学校を接収した米軍から仕事を任されたことで、同地に店を構えた。
戦後の暮らし克明に
書籍は、地元の俳句誌「阿夫利嶺(あふりね)」に投稿したエッセイ80編をまとめたもの。洗濯技術や機器の進歩について体験談を交えながら紹介するとともに、キャンプ座間軍人たちとの「交流」も掲載。祖父と父の腕が高く評価されて専属契約したこと、休日に遊びに来た兵隊が趣味の釣り針コレクションや写真を見せてくれたことなどを取り上げている。さらに、近隣の空き地で開かれ大勢が詰めかけたという映画上映会「青空劇場」、通っていた座間第一小学校(現在の座間小)にあった「お座敷教室」など、当時の生活の一端を窺い知れる内容になっている。
書籍は1500円(税別)。12月1日から、市内の書店などで発売予定。11月29日(日)には、友人らが企画する「出版を祝う会」も予定されているという。
同社から書籍化を打診され、「後世に残る地域の記録になれば」という想いで出版を決意したという神山さん。今後は、市立図書館への作品寄贈なども考えているそうだ。書籍に関する問い合わせは神山さん【電話】046・251・0201または冬花社(鎌倉市)【電話】0467・23・9973へ。
座間版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|