ざま再発見写真コンテストで最優秀賞を受賞した 今井 貴之さん 四ツ谷在住 40歳
心打つ風景、切り取る
○…突き抜けるような青空と、うっすら雪化粧に染まった丹沢の山々、そして時が止まったように古びたトラクター。市内で撮影したとは思えない、田舎の原風景を思わせる「春支度」が、ざま再発見写真コンテストの頂点に輝いた。コンテストにはこれまでに4回ほど出品したが、最高成績は入選。作品を「春支度」と命名した妻は、受賞を聞いて「やっと芽が出たね」と労ってくれた。
○…高知県の出身。写真を撮るようになったのは、上京した大学時代。高知で暮らす祖母が体調を崩したことがきっかけだった。「幼い頃から、大のおばあちゃん子。母親が仕事の時は、自転車で幼稚園まで連れて行ってくれたり」。思うように外出できなくなった祖母に綺麗な景色を見てもらおうと、県内や富士山の風景を撮影しては写真を送っていたそうだ。「いま振り返ると粗削りなものばかり。でも、喜んでくれていたと思う」――。祖母が亡くなった現在は、写真を両親に送り続けている。「出不精な2人だから。少しでも楽しんでもらえればと思って」と優しい表情で話す。
○…海老名市の特別養護老人ホームで働いている。「お年寄りの方々と関わる仕事が、自分には合っている」と、介護の道を志した。働く上で心掛けているのが、「人と人」として利用者と接することだとか。例えば言葉づかい。上辺だけを取り繕うような丁寧な話し方では、内容が伝わらない時がある。時にはぐっと踏み込んで率直に伝えることも大切だと考えている。
○…「何故、写真が好きなのだろう?」。そう自問すると、コンテストで入賞したいとかではなく、心を打った景色を形として残したいだけだと気付いた。感動するシーンとの出会いは、いつも一瞬だという。「その風景を残せれば、それだけで満足なんです」。これからも、多くの偶然が積み重なった奇跡のような瞬間を見逃さずに、カメラで切り取っていく。
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