法改正等により、地域の高齢者福祉を取り巻く環境が目まぐるしく変わる今、地域の介護現場では何が起こっているのか。市内の4事業所から7人の介護従事者にお越しいただき、話を聞いた。(聞き手・座間編集室)
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◇座間というエリアで介護事業をしていて、地域性や課題を感じることはありますか。
小林(和)―良い点としては、地域が良く助け合っていると思います。自治会やボランティアさんの力によるところも大きいです。その反面、自治会員の減少などもあり、今後の担い手については少し不安が残ります。特に、市西部では高齢化がかなり進んでいるので。
中島―加えて、新田宿や四ツ谷、上宿、中宿、下宿などはスーパーや病院が少ない上に、四ツ谷や新田宿ではコミバスなども不採算で廃止になってしまいました。
岡部―こうなると、自力で買い物に出られる方だけでなく、ホームヘルプにも影響が出がちです。時間は決まっていますから、果たして45分で買い物に行って帰ってこられるのか、とか。
小林(教)―今、 ”介護の社会化”が求められているのだと思います。民間企業の参入でサービスは拡充されましたが、今度は保険で賄えず、減らす傾向になってきました。不景気もあり自分たちの生活で手一杯な人が増えていますし、ボランティアといっても片手間ではとても賄えない。報酬と責任をきちんと発生させた、持続できる形が必要になってきたと思います。
菅―買い物難民化への不安に関連してですが……太陽の家は入谷駅から見えるところにありますが、高齢の方にとっては駅前の陸橋すらも大きな障害になり、来られないこともあります。(本部がある)横須賀などでは、百貨店がバスで来てくれたりするので、座間でももう少し環境が充実するといいのにな、と思います。
瀬戸―極端に、目に見えて不便ではないからこそ対策が出てこないのかもしれません。コンビニやドラッグストアは数多くあるんですが、生鮮食品などは手に入りづらいですね。車だと一瞬なんですが、買い物袋を抱えた高齢者の足だと、やはり遠い。
◇法改正など、近年の環境の変化についての実感はありますか
菅―特養の対象者が要介護3以上になったので、その影響は大きいです。入居者の中には、要介護2に下がったために退去しなくてはならなくなった方もいて。
岡部―生活環境によって、介護認定はすぐに変わってきますから。特養にはいったから改善したのであって、また在宅になれば要介護3に戻る可能性もあるかと。
菅―介護度が下がること自体は良いことなんですけどね。結局ご家族は、在宅ではなく、特養の代わりに入れる施設を探されています。
◇今、介護に悩んでいる人に伝えたいことは何ですか
岡部―介護サービスの申請方法や活用方法がわからずにギリギリまで我慢してしまう人がいらっしゃいます。極限で駆け込んだ時には、すでに介護の範疇を越えて、治療が必要になってしまっていたり……。
小林(教)―在宅で何とかしようとするうちに、家族も精神的・経済的に追い詰められてしまい、取り返しのつかない状態になってしまう。ケアマネジャーや地域包括、そして介護施設などの、身近にいるプロたちに、早めに率直に相談して頂ければと思います。
中島―介護保険が始まった当時などに比べれば、かなり介護は身近な存在になり、介護のプロも増えてきましたね。
瀬戸―知って頂きたいことといえば、高齢者とペットの問題についてですね。健康な犬猫だと、20年近く生きることもあるので、飼い主さんが急逝されてペットも餓死してしまったり、入院する際に面倒を見る人がいなかったり。飼育する本人や、その周囲の人にも意識して頂きたい問題です。
小林(教)―あと、最近「下流老人」という書籍が話題になっていますが、現場にいるともはや高齢者の困窮は特別でもなんでもないと感じます。医療の発展もあり、近年は要介護状態になってからの寿命はおよそ10年といわれています。要介護にならないのが第一ですが、もしなった際にいくら必要なのか等、たえず情報収集をして頂きたいです。
中島―厚生年金で、貯金を切り崩さずに暮らしたい、というご相談も多いですね。
小林(教)―それに応えるためにも、我々施設側の連携も強化していく必要があるのかもしれません。
◇座間の介護現場からの、プロならではのお話、大変参考になりました。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
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