全国優勝した女子小学生バレーボールチーム「HAND TIGERS(ハンド タイガース)」の監督を務める 萩原 正吾さん さがみ野在住 41歳
三位一体で手にした頂点
○…中学生からバレーボールを始めた。当時の部活はもっぱら「スポ根」的で、練習中の水飲みは禁止、筋トレはとにかく回数を重ねることに意味があった。「小学生を指導してみないか」と声を掛けられたのは、19歳の時。その頃にはうさぎ跳びで階段を上るような練習は時代遅れになっていた。「小学生で、ましてや昔ほど厳しくない時代。すぐに結果が出るかと思っていたんだけど」。中々成果に恵まれず、試行錯誤が長く続いた。6年前に別チームとの合併を経て、今年4月に再結成。その直後に掴み取った全国優勝だった。
○…小学校の高学年ともなれば伸び盛り。心も発達途上の彼女らには、厳しく接するだけでは萎縮させるばかりで伝わらない。「初めは、フィジカルとメンタルを鍛え上げれば上手くいくと思っていたが、間違いだった」。方針を変えてスポーツ栄養学を独学で学び、保護者協力のもと練習に間食を導入。1日5食が定着した。他にも運動生理学や指導術、学べるものは何でも学んだ。
○…この「研究」を助けてくれたのは、保護者やOGたちだった。栄養士や医療従事者、多くの部下を抱える役職者などがそれぞれの経験や知識を持ち寄り、学びあった。「タイガースは三位一体。彼女ら無しには勝てない」。皆が主体的に考え、苦楽を共にし、全国をつかんだその瞬間。喜びつつも冷静な子どもたちの傍ら、大人たちが顔をくしゃくしゃにして号泣した。
○…平日の顔は会社員。今大会と仕事の繁忙期が重なり、嵐のような忙しさだった。それでもがむしゃらに頑張り続けたのは、期待に応えたいというその一心からだ。喜びも束の間、10月には関東大会がやってくる。今度は負われる側のプレッシャーがかかるだろう。「今の子どもたちは、感情を表に出すのが苦手だが、闘争心を隠しもっている子も多いから」。その心に火をつけて、無限の可能性に向けて背中を押す。
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