市内で農業を営む中村壽志(ひさし)さん(70/座間在住)、小林多賀雄さん(69/同)がこのほど、宮中新嘗祭で穀物を献上する「献穀(けんこく)」の大役に選ばれた。市内の農家が担当するのは約30年ぶり。6月7日には中村さんの田んぼで米の御田植祭(おたうえさい)が、小林さんの畑で粟の播種祭(はしゅさい)が行われた。
11月に行われる宮中新嘗祭では、毎年農家が育てた米や粟が献穀されている。宮中祭祀を司る掌典長が各都道府県の農業組合に依頼しており、神奈川県は今年、JAさがみが担当することに。米どころの座間で、座間市稲作研究会の会長を務める中村さんに白羽の矢が立った。粟農家は県下に一人もいなかったものの、長年の功績などが認められ、小林さんが粟を献穀することとなった。
豊作を祈念する御田植祭と播種祭には、遠藤三紀夫市長や芥川薫県議会議員をはじめとした来賓や農業関係者約30人が出席。厳かな雰囲気の中、座間神社が儀式を執り行い、田植えと種まきを行った。収穫後は宮中へ足を運んで献穀し、天皇陛下に謁見する機会も設けられるという。
「身引き締まる思い」
中学生のころから農業を手伝っていた中村さん。依頼を聞いた時には、「まさか自分が」と驚いたという。市内の米農家16人が所属する同会では、会長を務めて3年目。初の大役に「身が引き締まる思い」と話す。
御田植祭では「はるみ」という品種を植えた。順調に育てば、9月末頃に収穫できるという。「最近大きな災害が無いので、今年は少し心配。無事に収穫したい」と祈った。
「良い粟献上したい」
農業委員を務めるなど、座間の農業振興に寄与してきた小林さん。「選ばれるなんて思ってもみなかった」と当時の心境を振り返る。これまで粟を育てたことが無かったため、献穀経験のある小田原の農家に話を聞きに行くなど、万全の準備で播種祭に臨んだ。
収穫は9月末頃の予定。種まきを終え、小林さんは「鳥害に気をつけながら、良い粟を作って献上したい」と話した。
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