生活上さまざまな課題を抱え、制度の狭間で暮らしに困っている人の「SOS」に気づき、手をさしのべる”地域福祉コーディネーター”。厚木市社会福祉協議会では、身近な相談窓口として、このコーディネーターを今年度から新たに配置し、支援策を関係団体や地域住民と共に考え、問題を解決させるための取り組みを始めた。
地域福祉コーディネーターは、コミュニティー・ソーシャルワーカー(CSW)とも言われ、NHKが制作したテレビドラマ『サイレント・プア』で、主人公の職業としても紹介され注目を集めている。
ゴミ屋敷の主や引きこもり、ホームレス、若年性認知症など、制度の狭間で暮らす「声なき貧困」に対して、行政や福祉関係機関、地域住民などと連携しながら課題の解決に導く「つなぎ役」として期待されている。
今年度は3人配置
市社協と厚木市は、テレビドラマのモデルとなった大阪府豊中市の社会福祉協議会などを今年1月に視察。厚木市でも同様の活動をめざして、今年度から3人のコーディネーターを配置し、南毛利地区・荻野地区・森の里地区を中心に活動を始めた。市社協の自主事業で、コーディネーターは市社協の職員が担当。市は交付金として年間830万円の予算で支える。
市社協はこれまでも、市内15公民館単位の地区に担当職員を配置し、福祉課題の解決に取り組んできた。また、2011年度から3年間、地域福祉推進員による地域福祉活動支援モデル事業を実施。この効果と必要性などを検証した結果、地域福祉推進員に新たな知識や能力の向上などを加え、地域の活性化を促すリーダー的な存在として、地域福祉コーディネーターが必要という結論に至ったという。
市社協によると、コーディネーターのもとには、地域の民生委員などを通じて既に13件の相談が寄せられている(6月20日現在)。このうち、7件は解決済み。ゴミ処理の課題を抱える世帯への支援として、コーディネーターが地域住民、民生委員、行政と協力して取り組み、解決につなげたケースもあったという。
市はコーディネーターの設置を受けて、福祉部内にコーディネーターとの窓口になる職員を明確化。行政内部の調整を行い、全面的に支援する。市社協の担当者は「同じスタートラインに上手く立てたことで、今までよりも一歩踏み込んで、情報をより共有しやすくなった」と成果を話す。
コーディネーターの一人は「社会的に認知されていくともっと動きやすくなる。潜在化しているニーズが顕在化され、どこにいって良いか分からないで困っている人が救われるケースが増えてくるのでは」と語る。
市社協と市は今後、検証を重ね、将来的には市内全地区にコーディネーターを配置したい考えだという。
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