剣を構える松永さん
市内愛甲の老人憩の家。そこでは週に２回、威勢の良い掛け声とともに剣を用いた舞を稽古する団体が活動する。
「剣舞一刀流」と呼ばれるこの団体は、詩吟に合わせて刀や扇子を手に舞う。今ではめっきり指導者も少なくなり、その存続も危ぶまれる日本の伝統芸能だ。
そんな剣舞を広めようと、82歳となった今でも精力的に指導に取り組んでいるのが、松永律子さん（雅号・松永刀雲）だ。
剣舞一刀流の宗家に生まれ、中学生の頃から初代である祖父に舞を習った。昭和40年代から中学生に指導を始め、定年退職後から本格的に指導に取り組み始めた。県内の高校での部活動の指導のほか、鹿児島県でも活動を行う。
一見、どこにでもいるおばあちゃん。しかし、ひとたび剣を構えると、目つきが変わった。腰を落とし、ドンッと足を踏み出す姿は勇ましく、華麗な剣さばきには美しさも感じられる。
「人生は剣舞とともにある」。だからこそ、その未来も気にかかる。「この文化がなくならないためにも、身体の続く限りは現役でやりたいですね」と微笑んだ。
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