市総合福祉センターの一室で毎月一回行われている「こころみの会」。精神に障害を抱える人々の交流の場として、ボランティア団体「グリーンハーモニー」が主催する。代表の野田智恵さん(74)に話を聞いた。
▽「私なんて、何を話してええんかわかりませんよ」。軽快な関西弁で謙遜する野田さんは、この道17年。その間、毎月1度開く会のお知らせは手書きで作り続け、大量の分厚いファイルが何冊も作れるほど。毎月250枚刷り、1枚1枚に丁寧に色を塗る。保健所や病院に配って回ること18カ所。「毎月楽しみに見てくれる人がいるんですよ。カラフルだから、良いのかな」とにこやかに語る。
▽きっかけは、ちょっとしたことから。テレビを見ていると、裕福な日本人は「海外旅行を楽しむ」と話す一方で、裕福な外国人は「貧しい人たちのボランティア活動に充てる」と話していた。「日本人は恥ずかしいと感じたのね。それで、自分も年を取ったらボランティアをやろうと思って」。50歳の頃、退職をきっかけにボランティアの道へ。総合福祉センターでの講座を受けるところから始まり、そこでの繋がりが発展して同会が結成された。あとは、あっという間に時が経ってしまったという。
▽現在、会の活動は約10人のボランティアによって運営され、10代から70代までの約20人が参加する。お茶やおしゃべりなど気ままに過ごし、自然と帰っていく人も。「いつ来ても、いつ帰ってもいい。それがこの会のモットー。病院との往復の人にとって、一つの交流のきっかけにしてもらえればね」。
▽長年、続けられている理由を問うと「利用者の皆さんはとても心が優しくてだからこそほっとけない、ずっと寄り添っていきたい。もちろん楽しいから、私こそありがたいわ」。チャーミングな笑顔は、人を元気にするパワーに溢れている。
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