▽今年30周年を迎えた「厚木演劇鑑賞会」。演者を呼び、公演案内のチラシ作成や配布、会場でのチケットのもぎりから、時には舞台装置などの搬入搬出なども手伝う。地元に劇団を招いて鑑賞するまですべてを手作りで行う会員制の非営利団体。通称「厚木えんかん」。全国に組織があるが、現在、厚木えんかんは独自で活動を展開している。会員数は20年前には1000人を超えていたが、会員の高齢化もあり年々会員数は減少し、現在約400人。サークル組織で、幹事は14人。公演運営は持ち回りで担当している。
▽「生の舞台でないと伝わらない感動がある。地元でよいお芝居を見続けたい、感動の輪を広げたい」と話すのは現在、代表幹事を務める中弥美恵子さん。高校時代は演劇部に所属、結婚後、厚木へ。同会に入会して20年以上になる。「観るだけでなく、俳優さんとの交流や劇団との打ち合わせなどができることも楽しみのひとつ。会員が多かったころは、公演時間に保育士さんも呼んで、子育て中の方々も演劇を楽しんでいたのよ」と振り返る。
▽9月18日に開かれる30周年の記念公演は162回目の鑑賞会。オペラという舞台芸術に触れてみたいと企画し、厚木高校出身のバリトン歌手・森口賢二さんを招く。「森口さんとお仲間による入門おしゃべりコンサートの形式になっています。亡き事務局長への追悼でもあります」。旭町の事務局に常駐し、設立当時から同会を支えてきた事務局長の徳原浩之さんが今年6月に54歳で急逝。その後、中弥さんは事務局の仕事も引き継いだ。会員の減少は作品選びや運営にも響いている。「いくつになっても近くで良い演劇を観ることができる鑑賞会は大切な財産。存続できるように力を尽くしたい。これからも演劇を通して厚木の地域文化づくりに貢献していきたいですね」とふんわりと微笑んだ。
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