「荻野の美田を守る会」の代表を務める 熊澤 光政さん 下荻野在住 76歳
遊びの天才、合鴨農法に挑戦
○…「こーい、こーい」。
呼び声に合わせて水田を泳いでいた合鴨のヒナが集まってきた。その数38羽。まだ黄色い羽毛をバタつかせてピヨピヨと鳴いた。合鴨農法を始めて1年が過ぎ、この4月で2年目に突入。農業を始めて1年のビギナーが、生後3週間のヒナと親鳥6羽を飼育しながらコメ作りに励んでいる。
○…始まりは、散歩コースだった下荻野。雑草が生え、手つかずの田んぼを見た。「田園風景を取戻したい」と持ち主に申し入れて雑草取りを開始。75歳にしてコメ作りを始めるきっかけだった。化学肥料を使わない合鴨農法を学んだのはインターネット。そして「やるなら仲間を増やそう」と「荻野の美田を守る会」を立ち上げた。会員は現在約25人。昨年9月には活動が認められ、市から「里地里山活動団体」の認定も受けた。それでも試行錯誤の連続。合鴨のヒナがカラスに取られたりして150羽中120羽を失った。「やってみなきゃわからないことが多かった」と言いつつも、昨年1・2トンを収穫。出荷できないくず米は5分の1しか出ない良質なコメが育った。
○…東京生まれ。大学時代に山岳部に入部したことがきっかけで、アウトドア好きに。卒業後、自動車会社の営業に就職するも、「世界に出てみたい」と23歳で1年間休職。ヒマラヤ登頂を目指してインド、ネパールなど東南アジアを放浪した。30代には山岳部OBで作ったヨット仲間と香港からマニラへ向かうレースにも参加。ほかに、ダイビング、ハンググライダー、社交ダンス、太極拳…そして今でも続けているスキー。多彩な趣味を持つ。
○…遊びも仕事もし尽くした「自称遊びの天才」が行き着いたのが農業の道。「自分ができる範囲で日本の水田風景を守りたい」という思いが、多忙な日々を支える。「失敗しても全ては経験。まずは挑戦しないとね」。人生の大先輩。怖がらずに飛び込む勇気をもらった。
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