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前立腺がん検診について 厚木市立病院 泌尿器科 鈴木正泰
前立腺がんは、この20年間で国内の罹患数(その病気になる患者さんの数)が増えている病気のひとつです。平成12年と平成23年の比較では、罹患率(昭和60年を基準とした年齢調整罹患率)が10年間で約3倍に増えたことが確認されています。前立腺がん検診については、いろいろ議論されてきましたが、前立腺がん検診の先進国であるスウェーデンを中心に行われた調査研究で、前立腺がん検診を行うことにより進行性前立腺がん罹患率の低下や前立腺がんによる死亡率の低下が確認されています。日本でも、近年、多くの自治体が前立腺がん検診を行うようになりました。
厚木市では、平成16年度より前立腺がん検診を施設健診で行っています。施設健診とは、多くの人が集まって行う集団検診ではなく、ひとりひとり個別に医療機関で行う検診です。受診対象者には、毎年6月下旬に受診券が送られてくるはずです。受診対象者は50歳以上の男性です。受診券が届く前に受診したい方や詳細を知りたい方は、市役所健康づくり課に問い合わせて下さい。
厚木市前立腺がん検診の手順を簡単に説明します。
受診券を受け取ったら、かかりつけ医の先生やご近所のクリニック、診療所の先生に受診券を提示して前立腺がん検診を希望する旨、お伝え下さい。検診方法は、前立腺特異抗原(PSA)という腫瘍マーカー(血液の中にある癌の目印になる物質)の採血検査です。採血検査の結果で陽性と判定された場合、より詳しい検査が必要と判断されて(要精査)、さらに詳しい検査が可能な施設(2次検診施設)に紹介されます。2次検診施設では、施設によって若干の違いはあるかもしれませんが、基本的に、問診、PSA再検査の採血、直腸診による前立腺触診、そして前立腺超音波検査が行われます。その結果、やはり前立腺がんの可能性が高いと診断されると、前立腺の細胞を採取(前立腺針生検)して顕微鏡で調べる検査(病理組織検査)が必要になります。前立腺針生検を行う前に、前立腺のMRI(磁石の力で体の中を画像化して調べる検査)を行う場合もありますが、前立腺がんと診断するためには、最終的には前立腺針生検が必要です。
こうして、万一、前立腺がんと診断された場合、病気の進み具合を調べた上で、患者さんのご年齢、病気の悪性度、進み具合などから、最も望ましい治療法を決めることになります。
グラフは、平成16年から平成28年までの厚木市前立腺がん検診の受診者数、前立腺がんの診断数です。参考になれば幸いです。
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