進む超高齢社会、人口減。日本経済を支える中小企業の後継者不足や社会全体の人手不足も深刻な問題となっている。そして「働き方改革」は今もっとも注目されるキーワードだ。市内で30年以上介護サービスを提供している、社会福祉法人「神奈川やすらぎ会」の取り組みを取材した。
業界体質を見直すきっかけに
5月下旬、同法人は「従業員一人ひとりが、心身ともに健康でいきいきと働くことができる職場環境の構築を目指す」とした「かながわ健康企業宣言」を行った。宣言証には「経営者自身が率先して健康づくりに取り組むこと」「健康課題を把握し改善に努めること」などが盛り込まれた。全国健康保険協会神奈川支部が従業員の健康づくりを支援するために行っている事業で、宣言を行うと協会からは健康づくりに関するサポートを受けることができ、継続した取り組みが認められると「健康優良企業」として認定され、人材確保にもつながるメリットもある。同法人の副理事長・西迫哲さん(54)は宣言をしたことで「何よりも自分たちの体質を見直すきっかけになった」と語る。
まずやってみる、そして考え続ける
同法人の設立は1983年。職員数は200人を超える。「まずやらなければいけないのは介護業界のイメージを変えること」と、以前から職員の福利厚生と研修に力を入れ、企業内託児所の整備(2010年)や有休休暇100%消化(2年前から達成)、サービス残業ゼロなどを目標に掲げてきた。「変えることに対する嫌悪感よりも、変わったことに対して、自分たちに気付きがあったことは大きいと思う。”まずやってみる”そして考え続けることが大事」。
「宣言が活きてくるのは5年後」
同法人は、人材育成や処遇改善に成果をあげた事業所を表彰する「かながわベスト介護セレクト20」、健康経営を実践した企業を認定する「ホワイト500」にも申請を進めている。「宣言が活きてくるのは5年後だと思う。AIやIoTなどの進化で介護の現場は仕事の軽減は図られても、5年後、10年後も必要な仕事であることは確か。そして喜びと楽しみを得られる素晴らしい仕事。職員の労働環境が充実した上で職場が自己実現の場となれば法人の、ひいては介護業界のイメージアップにつながる」と語る西迫さん。自身の意識改革にも日々励んでいる。
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