神奈川県は11月6日、2019年度の「神奈川の名工(神奈川県卓越技能者)」の受賞者30人を発表。厚木市からは、和服仕立職の軍司たつ子さん(68/愛名)が、唯一の受賞となった。
卓越技能者は、その技能に係る職業に25年以上従事している45歳以上の人で、全国大会での受賞者や後進の人材育成に尽力するなど、その技能において県内で第一人者と目されている人に贈られる。軍司さんは、高校卒業から現在に至るまで一貫して和裁の仕事に携わり、高度成長期の和裁所では皇室、政財界の仕事を多く手掛けたことなどが評価された。「細々とですが、和裁に関しては努力してきたので嬉しいです」と謙虚に語る。
宮城県出身。幼少期から母親の裁縫する姿を見てきたため、自然とその道へ。高校卒業後、東京の和裁所で5年間修業。和裁所では、ひたすら運針の練習をしたという。「好きなことだから苦じゃなかった」と振り返る。結婚を機に厚木へ。2人の娘を授かった。子育てがひと段落すると、夫の協力もあり、資格取得のため講習会に参加し、「たくさん勉強した」と胸を張る。自宅の2階を作業場とし、知り合いや口コミで頼まれた仕事を受けてきた。娘たちの七五三や成人式、結婚式の打掛などは、全て軍司さんが縫い上げた。「着物は究極のエコ」ときっぱり。
現在は県和服裁縫協同組合保土ヶ谷支部の支部長を務める。県の技能まつりやイベントでのバザー販売など、組合の活動も忙しい。「後進を育てていきたいですね」と穏やかにほほ笑む。右手中指の第一関節と第二関節の間には、長年針を支えてきたタコが。和裁ひとすじ、半世紀。そのタコが軍司さんの歴史を物語っている。
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