厚木高校出身で劇作家の横内謙介さんが主宰を務める劇団扉座の新作『解体青茶婆』が6月26日、27日に厚木市文化会館小ホールで開催された。
昨年の公演が新型コロナの影響で中止になり、約1年半ぶりとなった厚木公演。収容人数を半分以下にするなど、感染対策をして行われた。
今作は、江戸時代の蘭方医・杉田玄白が晩年を迎え、過去に見学した「腑分け(解剖)」について紐解いていくストーリー。身分や性別、権力などで人の価値を決める時代に、大切なものは何かを訴えかける作品となっている。
公演初日となった26日は、この日を待ちわびたファンら約150人が来場。出演者9人の渾身の芝居に、会場からは温かな拍手が送られた。
30年以上にわたり扉座公演を見ているという女性は「横内さんの脚本は優しくて示唆に富んでいて、大切なことを教えてくれる。今回も杉田玄白と得能万兵衛が人の命とは何なのかをしっかりと伝えてくれた」と興奮気味に話した。また、市内在住の親子は「杉田玄白という偉人の深いドラマに感動した。役者さんの演技をはじめ、演劇の力は素晴しいと改めて感じた」と話した。
「今まで以上に感謝」
久しぶりの厚木公演に臨んだ横内さん。「厚木でできなくて寂しかった」と胸の内を明かすと、初日を終え「お客さんが待っていてくれたのをすごく感じた」と話す。「コロナで中止になるかもしれない状況で、今まで以上に一期一会に感謝してやった。この時期に、敢えて見に来てくれるお客さんが『来て良かった』と思えるものをお見せしなければという覚悟があった。今日はその想いが会場にも伝わり嬉しかった」と話した。
なお、公演は場所を座・高円寺(東京都杉並区)に移して7月11日(日)まで開催中。詳細は扉座HPで確認を。
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