2022年の幕開けにあたり、本紙では小林常良市長に新春恒例のインタビューを行った。昨年は新型コロナウイルス感染症に伴うワクチン接種をはじめとした諸課題に追われ、対応力が問われる一年だった。小林市長は市民に対し、引き続き感染症対策の協力を呼び掛ける一方で、市政運営の考え方やまちづくりに対する将来的なビジョンについて語った。
(聞き手本紙編集長 勝浦勝)
――明けましておめでとうございます。一昨年に続き、コロナが大きな影響を与えた1年でした。1年を振り返り、総括をお願いします。
新型コロナウイルス感染症の猛威はとどまることなく、私たちは厳しい一年を過ごすこととなりました。
令和3年は「希望」の二文字を掲げ、市政運営に邁進してまいりました。これまでの日々を取り戻し、新しい日常を創り上げていく過渡期の中で、本市が将来にわたり輝けるよう、希望に満ちた明日を思い描き、前を向いて進みたいという想いを込めています。
振り返りますと、緊急事態宣言の発令など、厳しい状況の中、5月からワクチン接種が始まり、迅速に市を挙げて取り組んできました。
7月には東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されました。厚木商業高校ソフトボール部出身の山田恵里選手の金メダル獲得は、市民の皆さまに勇気と感動を与えてくれました。
本市も、ホストタウンとしてサッカーニュージーランド代表を受け入れました。小学生との交流事業を行い、子どもたちに希望を与えられたのではないかと思います。
また、令和3年は全国的に大雨の被害が多発した年でした。近年、豪雨や大規模水害など、災害が激甚化しており、それは地球温暖化が一因とされています。地球規模の課題の解決には、温室効果ガスの排出ゼロを目指すカーボンニュートラルが求められています。
本市では2月にゼロカーボンシティを表明しました。次世代により良い環境を引き継ぐため、脱炭素社会の実現に向け、取り組んでいきます。
力を合わせ明るい未来へ
――2022年度予算査定も大詰めとなりますが、どのような方針の予算編成となりますか。
コロナは依然として本市経済にも大きな影響を与えています。また、社会保障経費や公共施設の老朽化に伴う維持補修費が増大しており、引き続き厳しい財政運営が求められています。22年度は、第10次厚木市総合計画の2年目です。将来都市像である「自分らしさ輝く 希望と幸せあふれる 元気なまち あつぎ」の実現に向け、感染症への対応はもとより、ウィズコロナを踏まえた地域経済の活性化にも、職員一丸となって知恵を絞り、取り組みます。
第10次計画を着実に推進するため「防災・減災への取組」「コンパクト・プラス・ネットワーク型の都市づくり」「デジタル化・カーボンニュートラルの推進」の三つの重点項目、「地域包括ケア社会の実現」「SDGsの達成」の二つの中長期的な視点に基づき、予算編成を進めています。
こうした課題を一つ一つ乗り越えるために「今、市民の皆さまにとって必要な事業は何か」を見極め、最小の経費で最大の効果をあげられる市政の実現を目指します。
――昨年から新たなごみ中間処理施設の建設が始まるなど、環境問題へも積極的に取り組まれているとお聞きしましたが、今後についてお聞かせください。
私たちが直面しているのは、コロナ禍の問題だけでなく、環境への取り組みも、重要な課題の一つです。昨年12月から、金田地区に新たなごみ中間処理施設の建設が始まりました。
ごみ中間処理施設は、私が市長就任以来、長い時間を掛けて、取り組んできた事業です。完成に向け最終段階となりますが、施設が本格的に稼働するまで、気を緩めることなく、事業を進めてまいります。
また、カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの普及促進や温室効果ガスの削減なども、市民や企業の皆さまと協働で、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
――子育て日本一を目指す厚木市で独自の施策がありましたらお願いします。
急激な少子化や共働きの増加、ライフスタイルの多様化など、子育て世帯のニーズは変化しています。本市では独自の施策として第1子目からのおむつなどの支給や、中学生までの医療費助成などを実施しています。
こうした取り組みが認められ、日本経済新聞社などがまとめた「2021年版共働き子育てしやすい街ランキング」で全国5位・県内1位の評価を獲得しました。
引き続き、未来を担う子どもたちが健やかで心豊かに成長でき、また、親が安心して子供を産み、育てられるよう子育て環境の充実に力を入れていきます。
現在移設建設中の厚木北児童館は、3月にオープン予定です。新しい児童館で、子どもたちが笑顔いっぱいで遊ぶ姿を楽しみにしています。
――本厚木駅南口地区市街地再開発事業も完了し、新たに北口再開発準備組合も発足しました。中町第2―2地区を含めた、今後の駅周辺の展望をお聞かせください。
本厚木駅周辺のまちづくりについては、昨年6月「(仮称)本厚木駅周辺歩いて楽しいまちづくり推進計画策定方針」を公表し、「本厚木駅周辺まちづくり推進会議」が発足しました。昨年完成した本厚木駅南口に続き、新たに発足した「本厚木駅北口地区市街地再開発準備組合」の活動を積極的に支援してまいります。
また、中町第2―2地区で整備を予定している図書館、(仮称)未来館、市庁舎などからなる複合施設は、今年、基本設計を完了し、いよいよ工事に向けた実施設計・施工者の募集へと、次のステージに入ります。本厚木駅周辺をより居心地が良く、歩いて楽しい場へと転換し、市の中心地としてのにぎわいや魅力の創造など、厚木らしいまちの実現に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたいと考えています。
――昨年は感染症による「地方移住」が話題となりました。都内からの移住先になり得る厚木市ですが、小林市長の考える厚木らしさと魅力をお聞かせください。
厚木市は、神奈川県の中央に位置し、相模川をはじめとした河川に恵まれ、西部には丹沢山系の豊かな自然環境が広がっています。自然と都市が調和した環境に加え、都心までのアクセスも一時間程度。駅周辺の都市機能も大きな魅力です。今後も市内に複数のインターチェンジの整備が予定されており、交通の更なる利便性の向上が期待されます。
コロナ禍におけるテレワークの推進やライフスタイルの変化などに伴い、住む場所を選ぶ人の考えも変わりつつあると感じています。今年度新たに始まった「若年世帯住宅取得支援事業補助金」など、若い世代の転入を推進するような施策を展開していきたいと考えています。
――コロナ禍で多くのイベントが中止・自粛となりましたが、国の対処方針も発表され、少しずつ行われるようになりました。市として今後のイベント開催などに向け期待することは。
感染症の影響を最優先に考えると、イベントなどは中止せざるを得なかった状況でした。特に「あつぎ鮎まつり」の2年連続となる中止は、経済への効果も含め、多くの皆さまに残念な思いを抱かせてしまいました。
今年の夏こそ3年ぶりの鮎まつりを開催して、にぎやかな厚木を取り戻したい。また何よりも、誰もが気兼ねなく祭りを楽しめる世の中になることを願っています。
――3度目となるセーフコミュニティの国際認証を取得されました。安心で安全に暮らせるまちに向け、どのような取り組みをしていますか。
「このまちを市民の皆さまが安心して安全に暮らせるまちにしたい」。こうした思いから始まったセーフコミュニティの活動は、今年で14年目。市民協働で継続してきた結果、刑法犯認知件数や交通事故件数の減少など、多くの成果が認められ、3度目の国際認証を取得できました。これまで、活動に取り組んでこられた皆さまに心から感謝申し上げます。
コロナの影響などもあり、社会情勢は日々変化しています。社会生活における安心安全を確保するため、行政や地域、関係団体が共に歩調を合わせて取り組んでいくことが重要です。
今後も市民協働で、安心安全なまちをつくっていきます。
――最後に、市民へのメッセージをお願いします。
昨年末から催しなどが徐々に増えて、感染対策を取りながら、地域を盛り上げようとする皆さまの姿に厚木市の底力を感じています。今年は、以前のように人と人とが繋がり合える1年にしたいと考えています。
そのためにも、皆さまには引き続き感染症対策へのご協力をお願いいたします。力を合わせ、明るい未来を創り上げてまいりましょう。
(了)
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