厚木市連合吟詠会の会長を務める 美咲 龍庵さん(本名:井内尚子) 厚木市愛甲在住 75歳
20代から吟詠ひとすじ
○…漢詩や和歌などを独特の節回しでうたう(吟ずる)吟詠。声を出す伝統芸能のため、コロナ禍で活動は大きく制限されてきた。先月やっと文化会館で開催できた発表会。あいさつの後も広い会場を動き回り、裏方に徹していた。以前なら壇上で吟ずる人の表情が見て取れたが、今回はマスクごし。元の風景に戻ることを願いつつ、秋の文化祭に向けて仲間と表現を磨いている。
○…愛甲出身で、小さい頃の思い出を語り始めるとザリガニやウナギ、イナゴ、オオバコといった単語が飛び出す。「小さい頃は国道246号もガタガタ道だったの」と目を細めた。遊び場だった自然はいつの間にか住宅地となり、遠くから響いていた踏切の音はもう聞こえない。
○…詩吟との出会いは20歳代のころ。愛用している教本を見せてくれた。どのページも色々と書き込まれ、ヨレヨレだ。両親が詩吟教室を開いていたこともあり、母から勧められて入門。実家には正月になると地域の人々が集い、料理を食べながら朝から晩まで詩吟を楽しむ光景があった。一家で詩吟に没頭し、姉とともに流派の全国コンクールで優勝したことも。詩吟を通じた交流で台湾を訪れる機会もあった。和服も準備して渡航したが、現地の暑さや冷房が影響したのか、肝心の声が出なくなってしまったという。悔しくも、糧となった経験だ。
○…教員免許をもち、昔は民間施設で子どもたちを教えていた。今は詩吟の世界で後進を育てる立場。若い世代には馴染みが薄い芸能かもしれないが、年齢は問わない。「詩や作者の心情が分かるようになり、出せなかった声が出せるようになる。健康維持にも」と太鼓判。1時間以上の取材の間ずっと正座で姿勢はぶれなかった。
愛甲石田駅近く家族葬専用式場「ゆかりえ」家族葬から樹木葬。友引の日に無料相談会を開催しています。 |
|
<PR>