1月15日に伊勢原高校で「郷土史かながわ」の授業を行った 佐野 た香さん 三ノ宮在住 86歳
「やりたいこと まだまだ」
○…今日の平和と繁栄は多くの尊い犠牲の上にある。「だから2度と戦争はしてはならない」「亡くなった先人に恥じない生き方を」。伊勢原高校で郷土史の講師を務めることになり、以前、学生に伝えたい思いをこう話した。授業では郷土史に戦争体験を交えて語った。同校の前身、伊勢原高等女学校の卒業生である縁から今回の依頼を引き受けた。「自分の経験を語り継ぐ機会は本当にありがたい」と笑顔をみせる。
〇…白根の農家に生まれた。幼少のころは明るく活発な女の子だった。たくさんの友達と楽しい日々を送ったが、多感な十代は太平洋戦争のさなかで過ごした。女学校を卒業後は女子挺身隊として高座海軍工廠へ。そこは厚木飛行場の近くにあった軍需工場で、8千人を超す台湾少年工とともにB29の迎撃戦闘機「雷電」の図面作成に従事した。「日台双方、皆が心一つに、日本の勝利だけを信じ頑張っていた」と戦時下で過ごした青春時代を思い出す。
〇…海軍工廠に勤務していたころ、年の変わらぬいとこを特攻隊で亡くした。最後の出撃を前に、いとこは実家近くの上空を旋回、南の海に向かう姿を親族が見送った。「厚木高校を首席で卒業した優秀な人だった。これからの日本を創る人だったのに」。悲しみは今も癒えない。終戦から2年後に結婚。三ノ宮の農家に嫁ぎ、子育てをしながら山坂の畑で汗を流した。20年ほど前には有志で「高座日台の会」を設立。戦時中の台湾少年工たちとの交流を現在も続けている。
〇…趣味は散歩とラジオ体操。昨年2月に膝を手術したが今は全快だ。今も現役で朝から畑に向かっている。「自分は年だなんて思わない。やりたいこと、やらなければならないことはまだたくさんあるから」。これからも体力が続く限り戦争体験を語り継いでいくという。「おばあちゃんの背中から何かを感じ取ってくれたらいい」―。願うのは平和な未来だ。
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