市消防本部(高橋登消防長)に配置されている40mはしご車(写真左)が、20年間の役目を終え海外に寄付されることになった。車両が耐用年数に達したことにくわえ、現行の排ガス規制に抵触することから今回の措置が決まった。救助隊の間では「ヨンジュウ」の愛称で親しまれてきたこの車両。隊員からは別れを惜しむ声や、活躍を祈るエールが聞かれた。
現在の40mはしご車は、1995年2月に市消防本部へ導入された。全長10m、総重量20tは市が所有する消防車両の中では最大級。消防本部によると、高層建物での火災事案が少なかったこともあり、この20年間での出動回数はおよそ30件。一方、市内中学校での出張防火教育や、毎年1月に開かれる消防出初式での乗車体験など、公の場に登場する機会は多く、数ある車両のなかでも市民にとってなじみある存在だった。
隊員の声
「いちばんの思い出は、ヨンジュウに熱い視線を送る子どもたちの笑顔です」。こう話すのは救助隊歴15年の今井裕さん(40歳)。
現場だけでなく署内の訓練でもはしご車に乗る機会が多く「愛車も同然」だったという今井さん。「ヨンジュウは子どもたちにとっての英雄でした。海外でもその働きで子どもたちに夢を与える”ヒーロー”でいてほしい」と願っている。
「やはり別れはさみしいものですね」。はしご車が導入された年に消防士となった櫻井聡士さん(40歳)は素直な心情を語る。
櫻井さんが印象に残っているのは、今から15年前。建物5階に住む女性が、その場から動けないほどの陣痛に襲われた現場だった。
先着隊では対応できず、ヨンジュウが現場へ急行。櫻井さんらは5階まではしごを伸ばし、バスケット(ゴンドラ)に女性を乗せ地上に降ろした。櫻井さんは「火災でなくても活躍するのがヨンジュウでした」と語る。
2月6日、下谷の南分署には新車両の30mはしご車が納車された。さっそく今井さん、櫻井さんらが操作方法を確認。今後は消防本部に配置される。
一方、ヨンジュウは、メンテナンスを施した後、(一社)日本外交協会を通じて開発途上国に寄付される。時期や寄付先は未定だが、車体の色やデザインを現地の仕様にかえ、現役の消防車両として使用される。
2月10日には下谷の南分署で車両の引渡式が行われ、同協会の池浦泰宏理事長から高山松太郎市長に感謝状が贈られた。
消防車両の寄付は2003年以来3回目で、通算7台目。
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