伊勢原市はこのほど、市内下糟屋の南蓮寺(福田雅宏住職)が所蔵する本尊「木造阿弥陀如来立像」を、市指定文化財としたことを発表した。市指定文化財は2018年の石雲寺北条幻庵印判状などに次ぐ40件目。
市文化財係によると同像は、平安時代後期に隆盛した浄土思想の中で生み出された往生しようと願う人の臨終に浄土から迎えに来る来迎の姿を現した阿弥陀如来である。
昨年度の調査により、髪の生え際から足下までの高さを三尺(約90cm)に整えた「三尺阿弥陀」である点や、螺髪(らほつ)や着衣などの表現から、鎌倉時代前期の製作であることが判明。市文化財保護審議会でも、「歴史的、芸術的に高い価値がある」と評価されたという。
同審議会の評価を受け市は、4月23日に開催された市教育委員会定例会で同像を「伊勢原市指定文化財」とした。
市は1980年度から97年度にかけて仏像等彫刻調査の報告書として「伊勢原の仏像」を2000年に発行。66カ所の社寺や個人所蔵の仏像、神像等293体を調査した。同報告書の発行をもって市内の仏像調査を終了。しかしその後、文化財の研究が進み、新たな価値が見直されてきたことから再調査を実施。その結果、今回の同像が新たな評価を受け市指定文化財となった。同担当者は「予算なども鑑み、今後も調査が進むことで、当時は認められていなかったが、後世に価値が認められる文化財が出てくるのでは」と話す。同像を所蔵する南蓮寺の福田住職は「お寺より古いことが分かった。これからも大事にしていきたい」と話している。
同市には国、県、市の指定文化財が66件あり、国登録文化財が11件、市登録文化財が4件、記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財が1件選択されている。
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