あやせ第九の会 会長 渡井 智恵子さん 市内上土棚南在住 74歳
心つなぐ”歓喜”を発信
○…「歓喜の歌」として知られるベートーヴェン作曲の交響曲第九番、通称「第九」。4楽章は独唱と合唱が加わり壮大な音楽を奏で、日本では年末から年始にかけてプロなどもコンサートで演奏することが多い。1月22日に本番を迎える綾瀬の第九。自身にとっては2度目の舞台となる。「綾瀬でこんな華やかなものができるって事を、発信できたらと思っています」と、謙虚に抱負を語った。
○…合唱を始めたのは子どもが通う小学校のPTAの合唱団。横浜から結婚を機に夫の実家である綾瀬へ移って以来、なかなか自分の時間もとれず、年齢の近い友人も少なかった中で、合唱の時間は至福の時だった。「みんなで何かをやれるのがすごく良くて」。意気統合した当時のメンバーで、発表会後も続けようと30人ほどで自主グループを結成。合唱連盟にも所属し、友達の輪は市内全域に広がり、毎日が少しずつハッピーに。もっと楽しく歌えるようにと、月に2回、個人レッスンにも通っている。
○…「子どもが幼いうちは子育てや仕事などに追われて時間がないからね」。若い世代の参加が少ない要因に自分の経験が重なる。子育てや家事に奔走しながら、子どもを連れて練習に参加していた当時が思い出される。「一番下の子は3歳だった。連れ回しちゃってね」。ただその影響か、子ども達も孫も音楽好き。2年前に他界した夫も発表会には毎回客席に来てくれた。コーラスが、友達の輪も、家族との絆も強めてくれた。
○…今年は縁あって「綾瀬フォトクラブ」と共催し、写真展も開く。クラブメンバーは毎回練習に訪れ、練習に励む団員を記録に残してくれている。「『声が変わった』なんて言ってくれるのも嬉しいですよ」と、目尻に皺をよせた。発表まであと1週間ほどとなり、「あとはやるしかないです。できるだけ多くの方に聞いてもらいたい」。綾瀬から元気や感動、絆の発信を目指し、声高らかに歌う。