貴重な文化財を公開 「念仏講」の奉納も
お釈迦様の生誕日とされる4月8日、市内の「子育て観音」(深谷上)と「寝釈迦様」(小園)が公開された。晴天に恵まれたこの日は両所に多くの地域住民が訪れ、貴重な姿を拝み、そっと手を合わせた。
深谷上の「子育て観音」は同地区に古くから伝わる観音像。胸の部分に扉があり、その中に小さな仏像が納められている。江戸時代からこの地にあるとされ、幼子が満足に成長できなかった時代に子どもの健康を願ったという。地元有志による保存会が現在も大切に保護している。御開帳に合わせ近くの上深谷自治会館で伝統の長い数珠をつかった「念仏講」も行われた。この祈りは各地の村落で古くから伝わる儀式。18mほどの大きな数珠を約35人で回しながら祈りを捧げた。
市内で最も古い仏像とされる小園の「寝釈迦様」は「御本尊地蔵菩薩像」とともに地蔵堂に収められている。例年この日に「花まつり」を開き、仏像を公開している。1901(明治34)年に発生した火災もくぐりぬけ、同地区で受け継がれている。
この日は地元のはやし保存会が花を添え、地域の子どもやお年寄りなどがお線香をささげていた。同地区在住の60歳代男性は「室町時代から大切に守られてきた大切なこの地のシンボル。優しいお顔をしています」と話していた。