市役所市民展示ホールで5周年展を開催している「綾瀬絵画会」で指導を行う画家の 錦織 重治さん 蓼川在住 67歳
「絵は、その人の足跡」
○…市の美術協会員などから「絵を教えて欲しい」と請われたのが、会発足のきっかけ。プロの画家として活動する傍ら、1千人規模の法人「示現会(しげんかい)」の理事として事務局を務めるなど多忙を極めたため断っていたが、熱意に負け承諾した。「個展の準備を手伝ってもらう時、皆さんから意見をもらったりして支えられたのも、地元とのつながりを考えるきっかけになった」と、自身の思いを話す。
○…「カルチャーで勉強する絵を1枚の美術品として完成させる」が綾瀬絵画会のコンセプト。「示現会で広く活動しているけど、その取り組みは他で聞いたことがない。それなら、と思った」と話す。活動は月に1度。各々が持ち寄った作品を批評し、「習作」を「美術品」に昇華するためのアドバイスを行う。「絵はその人の足跡。それを素晴らしいものにできるお手伝いができたら」と、真剣な眼差しで語る。
○…島根県出雲市で生まれ育つ。幼少の頃、父が営んでいた養護施設に慰問で訪れた絵描きの筆が、瞬く間に絵を仕上げる様に感動したのが画家としての原点。高校卒業後に上京し、示現会絵画研究所で学ぶ。後に画家の楢原健三の元に入門。様々な仕事で生計を立てながら仲間とグループ展をしていた折、銀座松屋から「個展をやらないか」と誘いを受けたのが32歳頃のことだった。「信じられなかった。思えば、これがプロとしての第1歩」。以来、個展は2年に1度開いている。
○…綾瀬に居を移し40年。蓼川にアトリエを構え、今は夫人と二人暮らし。信州で山の自然に魅せられて以来、山を描くことが多くなった。絵を描きに行く時、夫人もハイキングがてら同行したがることがあるという。現在、5周年展に掲出している日展特選受賞作「白き湖」も、雪山を描いた見事な1枚だ。「会場には会員の描いた大作もある。ぜひ足を運び、その迫力を直に感じて欲しい」と、穏やかな口調で話した。