消防指令センター長を務める 須江 康成さん 海老名市柏ケ谷在勤 59歳
人にやさしく自分に厳しく
○…海老名、綾瀬、座間の119番通報の受信や災害出動指令など、消防通信業務を一元化するため4月に開所した「消防指令センター」。広域化する災害対応や効率化を図り、3市約34万人の人命と財産を守るため舵をとる。「緊急時の119番で困っている方に最初に対応する重要なポジション。間違いのないように、しっかりと職務を全うしていきたい」と真剣な眼差しで答える。
○…暇を持て余すよりも体を動かすことが好きで、高校生時代は6種のアルバイトに従事した。その頃から「早く家庭を持ちたい」という想いが強く、進学ではなく就職を選択。人に感謝される一生の仕事をしたいと消防の道へと歩み始めた。19歳で入庁後は救急隊や救助隊など、あらゆる業務を経験。駆け付けた現場では、助けられる場合もあれば、人が亡くなる場面に遭遇することもしばしば。「あの時は何をすることも出来なかった。当時の無念さは忘れない」と悔しさを滲ませる。「若い時は、自分の目の前の事で精一杯だった。そういう体験の積み重ねで冷静な対応ができるようになってくる。年を重ねた証拠だと思う」と感慨深く語る。
○…前屈みに座り、冗談を交え、場を和ませてくれる姿から「温かい人柄」が溢れ出る。子や孫たちの話になると、恥ずかしそうにしながらも「本当に仲が良くて、どこかへ出掛けたりするのが楽しみですよ」とニンマリ顔。20歳の時に結婚した妻との馴れ初めについては「それは勘弁して下さい」と顔を赤らめ照れ笑いする。
○…職業柄ぐっすりと眠れないことが多い生活スタイルだが、仕事でもプライベートでも「自分の背中を見せる」が自身の人生訓。命に接する機会が多いからこそ、自分を鍛えることを怠らない。「自分に弱かったら、人を助けられないですよね。1分1秒を大切に心を構えて取り組んでまいります」