10年に渡り愛川町サッカー協会の会長を務める 齋藤 増雄さん 愛川町中津在住 61歳
スポーツで心身育てる
○…「地域のスポーツクラブの役割は大きい。スポーツを通して身体を強くし、人への思いやりや協調性などが身についていくと思うから」。自身が幼い頃は、山に川にと飛び回るなど、遊びは自分で作っていた時代。学年の垣根もなく、近所の子どもたちが自然と連なる”外遊び”で得たものは多い。しかし今では子どもたちを取り巻く環境の変化で、その外遊び自体が減っているのが実情。だからこそ、心身を育成する場としてのスポーツクラブに重要性を感じている。
○…サッカーとの出会いは中学生。ボール1つあれば楽しめる手軽さと「称えるべき相手がいる」というスポーツとしての美しさに魅かれた。進学した学校でも、職場でも、サッカーをする場がないと見るや場を創り、道を切り開いてきた。町のサッカー協会もその1つ。そんな大のサッカー好きだから、日本サッカーの父と呼ばれるデッドマール・クラマーの話になると止まらない。
○…サッカーと並ぶライフワークが「防災」。愛川町の消防長を務めていたことから、今も「予防に勝る防災なし」と、防災思想の普及に余念がない。3月11日に発生した東日本大震災の後も「今何ができるのか」と自問し、3月末には嫁いだ娘とともに現地入り。災害ボランティアとして瓦礫撤去に協力した。その時、浸水した家で、80歳を超えた夫婦が笑顔で娘に発した「思い出は頭の中にいっぱいあるから大丈夫」という言葉が耳から離れない。
○…少年サッカーチームハリマオの監督でもある。開いた手帳は練習に遠征にと真っ黒。それでも「子どもたちは常に全力で学んでいる。すごいんだ」と楽しんでいる様子。目下の趣味はガーデニングと野菜づくりだが、2人のお孫さんの笑顔にはかなわない。「じいじって言葉に弱いんだ」と照れくさそうに微笑んだ。