神奈川県社会教育協会会長表彰を受けた 小島 秀也(しげなり)さん 愛川町半原在住 79歳
写真は時を止めてくれる
○…「知らせを受けてびっくりしたと同時に、くすぐってぇ気持ちだよ」と第一声。手にした表彰状には、永年に渡り文化財保護委員をはじめ、写真クラブや民謡保存会の要職を務め、町の文化向上発展に寄与したとある。本人は「ただ器用貧乏なだけ」と言って笑うが、生まれ育った町の歴史や文化を様ざまな角度から後世に伝えていきたいという想い、そしてエネルギーも人一倍だ。
○…授賞式の後に講演依頼を受け「在りし日の宮ヶ瀬・中津渓谷」と題したスライドショーを上映した。昭和26年ごろから昭和60年ごろまでに撮影した秘境の様子が収められている。時代とともに見られなくなった風景がスライドの中では当時のままの姿を残している。「2度と見られないものを見せてもらい感動したなんて言ってもらい、お世辞でも嬉しかったよ」と振り返る。自身が感じる写真の魅力は正にここにある。「時を止めてくれる─」。
○…昭和25年、写真屋で見つけた1台のカメラから始まった写真人生。今のようにボタン1つで消去ができないフィルム時代、故郷の風景を中心に、年間3600枚以上の写真を撮ったこともあった。また天気をチェックし、水の流れを見極め、3年かかって撮影した1枚もある。部屋の中はそんな写真関連の資料が山積み状態。「誰にも触らせないんだ。自分では全ての場所が分かっているから」と笑ってみせる。
○…写真を撮り続ける一方で自分が撮っていない町の明治・大正・昭和初期の写真も集めている。「自分のと合わせて愛川の歴史が写真でつながれば貴重な資料になる」と。上映しながらの”おもしろ解説”が人気のスライドショーは現在17シリーズあるが、さらに5つをまとめたいと意欲を見せる。72歳の時、独学ではじめたパソコンを駆使し、現在鋭意作業中だ。