志田山ホームへボランティア訪問を続けて15年になる 大成 保雄さん 愛川町半原在住 80歳
音楽が大好きでして…
〇…「ボランティアという意識はないんだ。自分も楽しませてもらっているからね」とにこやか。毎月2、3回のペースで続けている訪問は時間にして1回1時間ほど。一緒に懐メロを歌いながら過ごしている。流れる音楽は入所者一人ひとりに”当時”の自分を思い起こさせ、好評のひと時。しかし、しみじみ歌うわけではない。歌詞を拾っては気の利いた冗談を飛ばす。双方向のやりとりを大切にするあたり、根っからのエンターテイナーだ。
〇…ちんどん屋、和太鼓、カラオケ、祭りの音響…。本人は「ただ凝り性なだけ」と言って笑うが、その多芸多才ぶりは町内外問わず、各方面でひっぱりだこ。「あくまで素人だからプロと比べられても困るけど、自分なりに一生懸命やっています」と。活動は全てボランティア。部屋の中は、施設の職員や小学生から贈られた感謝のメッセージなどが記された寄せ書きでいっぱいだ。
〇…「楽器もやりたい。歌もやりたい。音楽が好きでしようがない―」。そんな趣味が高じて車庫から風呂場に至るまで、家の中はどこにいても音楽に触れられる環境にある。小学生で始めたハーモニカを皮切りに今ではサックス・ギター・三味線など和楽器から管楽器、打楽器までなんでもござれ。しかもほとんど独学で身に付けた。
〇…よく伸びる大きな声で、身振り手振りを交えて豪快に話す。聞くと自己管理は徹底していて毎日のダンベル運動を欠かさない。「何をするにも健康があってこそ」と。お酒はもともと飲めないが、どんな場でも相手に合わせてジュースで酔える”演技派”だ。車の運転は数年前にやめた。不便を感じていると思いきや、連れ添って50年以上になる奥さんがいつもハンドルを握ってくれる。「時には一緒にちんどん屋もね」と照れくさそうに微笑んだ。