6人の人生が一冊に 執筆者の平均年齢は88歳超
愛川町の文章運動グループ「神奈川ふだん記」の会員有志による約10年ぶりの自分史作品集「うららか」が4月中旬に完成を迎える。執筆したのは、平均年齢88歳を超える6人の女性たちだ。
「うららか」第2号発行のきっかけは昨年8月、ふだん記会員たちによる雑談だった。約10年前に発行した第1号の執筆者の1人が「今でも手にしてくれた人たちから評判が良い」と声をあげた。これを受け「1号から月日が過ぎて、新しい話も増えた。久しぶりの第2号をつくってみよう」と話がもりあがった。
神奈川ふだん記は、人生記、旅行記、生活記などいわゆる「自分史」を気軽に文章にして記録する活動を行うグループ。同会が年2回発行する機関誌「やまゆり」には、毎回町内外から多数の投稿がある。やまゆりはこれまでに77号を発行しており、投稿者個々の原稿も増えている。投稿目的以外にも、それぞれが日々の記録として書き留めているものを加えればその数はさらに増える。今回の執筆者6人もこれまでに書き溜めた自分史がいっぱいあった。「このままではもったいない」、「活字にしておくことで生きた証を後世に残したい」という気持ちで1つになった。ふだん記代表の足立原三紀子さんは「1人では作品集なんて『仰々しい』と敬遠する人もみんなの作品集なら『よしやろう』という気持ちになったようです」と話す。
何を感じ、どう生きてきたか
それ以降は怒涛の日々だ。本は「自身の略歴となる一冊を」がテーマで、それにふさわしい原稿の選び出し、写真集めが始まった。編集には足立原代表はじめ「やまゆり」のメンバーがフル回転。持ち込まれる原稿は全て手書きのため、校正作業もひと苦労だ。表紙の色やデザインなど、執筆者6人とその家族たちの想いも取り入れながら、ようやく4月中旬に完成の目途がついた。
大正、昭和、平成―。変わりゆく時代の中で、6人の女性たちが何を感じ、どう生きてきたか。「母の教え」「終戦の日」「子どもたちとの旅」「野菜づくりの喜び」「心のプレゼント」「孫の結婚式」…。収められた1編1編の中にはそれぞれの人柄や当時の想いがにじみ出る。足立原さんは「その時は口にしなかったかもしれない心の中の思いが、活字として本の中にある。昔の生活の様子も分かる。作って終わりではなく、本を通して、またみんなで思い出話に花を咲かせるきっかけになれば」と話した。
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