消防"非常備"が解消へ 厚木市と事務委託の規約締結
大矢明夫清川村長と小林常良厚木市長は6月30日、清川村の厚木市への消防事務委託に関する規約の締結書に署名した。これにより清川村にとって長年の課題だった「消防非常備」が解消されることになる。
常備消防をもたない清川村では、これまで村内で消防救急事案が発生した際は近隣市町が出動していた。厚木市では主に北消防署と南毛利分署の救急隊が対応を行っており、2012年の救急搬送は116件、火災出動件数は2件、救助件数は1件だった。
今回の締結によって村内に市消防署の分署が開設され、高規格救急自動車や消防車が配備される。厚木市にも清川村隣接地域での救急隊到着時間の短縮などの利点がある。実際の運用が開始されるのは2016年4月1日。
締結式で大矢村長は「規約の締結によって消防の非常備が解消されることを村民皆、喜んでいる。厚木市をはじめ国、県の協力に感謝している」。
また小林市長は「住民の命を守るのが私たちの使命。締結をスタートにさらなる消防力の強化、災害対応の充実に連携して取り組みたい」と述べた。
同席した和田久県安全防災局長も「大きな災害がおこると1つの市や村での対応は困難で、連携して助け合うことが重要となる。多くの人に締結してよかったと思ってもらえるよう、県としても支援していきたい」と話している。
広域化までの動き
2006年度に消防広域化を推進するための法的措置として、消防組織法の一部を改正する法律が施行。市町村の広域化に関する基本方針がまとまった。
2007年度には神奈川県消防広域化推進計画が策定され、清川村は厚木市、秦野市、伊勢原市、愛川町の3市1町1村による県央西部地区として示された。その後、2009年度に県央西部地区消防広域化検討委員会が発足。2012年度まで検討を重ねていたが、設備や費用など課題が多く、推進計画の期限であった2012年度末の広域化は実施しないこととし、県下の動向を勘案しながら判断するという決定がなされていた。昨年4月、市町村の消防の広域化に関する基本指針が改正。広域化実現期限が2019年までに延長されるとともに、国や県の支援を集中的に行う「消防広域化重点地域」の枠組みが設けられた。
清川村は同10月、厚木市に消防事務委託を依頼。その後、消防救急無線のデジタル化の移行期限も考慮し、2016年度当初を目標に、両者の間で広域化に向けた事前調整が進められていた。県はこれを受け、同12月に清川村と厚木市を全国で3番目となる「消防広域化重点地域」に指定している。
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