10年に渡り愛川町シルバー人材センターの理事長を務めている 佐藤 政利さん 愛川町田代在住 85歳
人の支えに感謝の日々
○…家庭や企業、公共団体等から要請を受けて、高齢者にふさわしい仕事を請け負うシルバー人材センター。愛川町では現在約300人の会員がいる。全員が60歳以上、健康で働く意欲も満点だ。「おもに定年退職した人たちがそれぞれの特性を生かして活躍している。会員となることで、仲間作りにもひと役買っているようだ」とにこやか。自身は、前身の愛川町いきがい事業団の時に入会。大工職ということもあり、現場でもその腕をふるってきた。
〇…繁忙期には1カ月待ちもあるという会の仕事だが、そういう時季ばかりではない。また、会員それぞれ得意分野も違うことから就業率の向上と安定は課題の1つだ。「これからますます、働く意欲のある高齢者は増えると思う。将来を見据えた時、新たな領域への挑戦が必要となるかもしれない」。熟年者が趣味や仕事で培ってきた知識と技術は宝モノ。だからこそ、無駄なく生かしたい。そして会員にとっては、忙しい位の活動を励みにしてほしいという想いが強い。
〇…皆勤賞で学校を卒業した当時は戦時中。高座の工員の養成所に入った。早朝からの厳しい訓練でいつも腹ペコ。食べ物の好き嫌いはこの時になくなった。16歳の時に終戦を迎え、実家に戻ってからは親戚に弟子入りし、大工の道へ。修業時代から勉強熱心で、暇さえあれば神社や仏閣を見て学ぶことに費やした。一般住宅はもちろん、近隣には祭りの山車や門など自身の仕事が残っている。
〇…「今自分が元気でいられるのは、人の支えがあってこそ。だから自分もできる範囲で人の役に立ちたい」。周囲への感謝が繰り返し口をついて出る。民生委員を14年、消防団を20年…。話しを聞く限り、この姿勢に生涯、変わりはなさそうだ。趣味と言えば身体を動かすことで、野菜づくりに精を出す。ツヤツヤの肌にピンと伸びた背筋。「歳は75くらいにしといて」と茶目っ気もたっぷり。