知的障がい者の支援を行うNPO法人「地域生活支援の会・あい」が運営する2棟目のグループホーム「きらきら」(愛川町春日台3の1の26)が、4月1日に開設する。工事は最終段階に入っており、3月15日には午後1時から内覧会が行われる。
「きらきら」では、町内の通所作業所や会社で働く知的障がい者5人が生活し、世話人が食事など生活面での支援を行う。
施設を運営する同NPO法人の歴史は1970年代まで遡る。当時、愛川町内では障がい者支援の場所が数少なく、障がい児を持つ親たちの悩みとなっていた。
そこで、親たちが協力し活動を開始。「愛川町心身障害児者母の会」として様々な活動を続け、障がい児の通園施設「ひまわりの家」や地域作業所「ありんこ作業所」、知的障がい者グループホーム「かもめの家」などが実現した。これらの施設は町社会福祉協議会や社会福祉法人に運営委託され、現在も町の障がい者支援の拠点となっている。
心身障害児者母の会はその後も愛川福祉懇話会など名称を改め活動していたが、新たな課題が浮上する。町内で親と同居し、作業所などに通っていた障がい者たちが年齢を重ね「親亡き後の居場所」が求められるようになったのだ。
転機となったのは2010年、障がい者の親の一人が、自身の所有する土地にグループホームを建て、愛川福祉懇話会に運営を依頼してきた。そこで、愛川福祉懇話会から有志が集い、施設を運営するために独自に勉強を重ね、約1年の準備期間を経て同NPO法人を立ち上げた。2012年、1棟目の施設「あいあい」が春日台に誕生。現在は5人の知的障がい者が暮らし、通所作業所などで働く。
同NPO法人ではこの他にも、2013年に「TownCafeあい」を春日台児童館隣に開き、障がい者の働く場を生むとともに、地域の新たなコミュニティづくりにも取り組んでいる。オープン当初は月2〜3回のオープンだったが、徐々に認知が広がり、現在は毎週土曜と隔週木曜日の営業となっている。
「人口の多い都市では支援を求める人も多く、大きな社会福祉法人などの組織もありますが、愛川町では、一人ひとりの声が散発的に出るケースが多く、声が行政などに届きにくい」と中川太朗施設長は話す。切実な日々の悩みに「自分たちの地域を自分たちで何とかできないか」との思いでスタートした同NPO法人の活動。2棟目の憩いの家が誕生するが「施設の入所待ちは今なお多くの自治体で起きています。支援の場はまだまだ不足している」と中川施設長は現状を語る。