「愛川清流太鼓」の代表を務める 滝澤吉男さん 愛川町半原在住 52歳
幼い頃から祭り好き
○…バチを握る手に力を込めて、張り詰めた皮を渾身の力で叩く。爆ぜる音は空気を震わせ、観衆たちは勇壮な鼓動に酔いしれる…。日本が誇る文化の一つ和太鼓。日本各地に郷土色豊かな音色が存在するなかで、愛川伝統の太鼓を継承する「愛川清流太鼓」の代表を務める。夏といえば祭りと太鼓。毎週のようにスケジュールが埋まって今が一番忙しい時期だ。
○…団体の発足は2001年。前身となるのは半原宮本地区の祭り研究会で、チンドンやお囃子を子どもたちに指導する活動が中心だった。時代の流れで徐々に和太鼓を習得したい声が高まり、当初は「半原清流太鼓」としてスタート。今年4月からは「愛川清流太鼓」に名称を変えた。「町全体に愛川の太鼓の輪を広げていきたい」と力強く語る。現在約20人が活動しているが「大人が減ってきている。お子さんだけでなく、ぜひ親子で参加してほしい。太鼓を通じて親子も弾むはず」とうなずく。
○…出身は熱海市。有名な花火大会の日に生まれて「親からは『それで祭り好きになった』なんていわれてね」と笑顔。お祭り、神輿、太鼓好きはまさに「三つ子の魂百まで」で、20代から神輿の団体に参加し、夏には休みなく毎週のように県内各地を駆け回り、神輿を担いだ。「近隣のお祭りはほとんど全て担いだんじゃないかな」と振り返る。50歳を前に「まだ体の動くうちに」と本格的に太鼓の指導に乗り出した。
○…太鼓は実際に叩いてこそ。練習のなかでは手にマメができ、擦り切れて血がにじむ時もある。「マメやタコは、良い音を目指して一生懸命に打ち込んでいる証拠。子どもたちは本当に熱心についてきてくれる」と目を細める。今は自らの腕を磨くより、子どもたちの成長が何よりの宝だ。既に成人し町外に住む息子2人も小さい頃から祭り好き。地区の神輿の担ぎ番が来た年は「帰ってきて一緒に担ぐ」と満面の笑み。