愛川町出身の冒険家、荻田泰永さんが日本時間の1月6日午前1時45分頃、無補給単独徒歩での南極点到達に成功した。日本人では初の快挙で、世界でも25人ほどしか達成していないという。
荻田さんは南米チリを経由して南極大陸のユニオン氷河に入り、昨年11月18日(日本時間)、ヘラクレス入り江を出発。標高約2800mの南極点を目指して歩み始めた。
「無補給単独徒歩」では、外部からの物資再補給や動力のサポートを受けず、単独自力のみで全行程を踏破する。食料や燃料、テントなどを載せたソリの重量は100kgを超える。
北極冒険家として知られる荻田さんは、2000年からの18年間で15回の北極行を経験し、冒険してきた距離は9000Kmを超える。氷点下50度以下の環境や、揺れ動く氷上など過酷な経験を積んできたが、南極大陸は初のフィールド。無補給ゆえの行動制限、南極特有の「タカバ風」と呼ばれる吹き下ろしの強風、そして身体的な消耗に挑まなくてはならない。
荻田さんは、見渡す限りの真っ白な世界のなか、ただ一人、凍てつく氷の上をひたすら進む。クレバス帯を慎重に避け、強い向かい風に挫けそうになる心を奮い立て、小さな一歩を積み重ねた。そして出発から50日目、1126Kmを踏破し南極点に到達した。
快挙を成し遂げ荻田さんは自身のホームページにメッセージを寄せた。このなかで荻田さんは「たくさんの方にご支援いただき、ありがとうございました。約20年冒険をしてきたなかで、これまでに関わっていただいた皆さんのおかげで今があります。諦めずに一歩を踏み出し、積み重ねてきた結果です」と話した。
荻田さんは田代出身。極地への冒険のほか国内では、子どもたちと160Km以上を歩く「100milesAdventure」なども開催。愛川町内の小学校や高校などでの講演会も行い、これまでの教訓や世界を広げる喜びを伝える活動も行っている。