青龍保存会の最年少会員として活動する 五本木(ごほんぎ) 駿士(しゅんじ)さん 清川村煤ヶ谷在住 21歳
願いの龍を次世代に
○…清川村煤ヶ谷夏の一大イベントである青龍祭。6月6日に「わらすぐり」が行われ、8月の開催に向けて準備が着々と進む。「龍作りには決まったマニュアルがあるわけではありませんから、毎年少し表情が違うんです。それがまた面白いんです」と笑顔を見せる。
○…龍作りを伝承する青龍保存会は現在10人ほど。高齢の会員が多く、最年長は90代だ。入会したのは18歳。高校3年生の時だった。年齢は離れていても、青龍祭を愛する心は同じ。「皆さんが受け入れてくれて、とても嬉しかった。昔の青龍祭や、戦後の経験談など、貴重な話も聞かせてもらえるんです」と、おしゃべりも楽しみの一つ。生まれも育ちも煤ヶ谷で、青龍祭は子どもの頃から見てきた恒例行事。だが、保存会に入会してからの青龍祭は「今までと全然違った」という。年明け早々の竹の切り出しに始まり、何カ月もかけて手塩にかけた龍を燃やす祭りのクライマックスには「悲しくもあり、同時に清々しさもあります」と、万感の想いがこもる。
○…6人きょうだいの4番目。長女は独立したが、今も大家族で賑やかだ。兄と姉を敬い、弟と妹を思いやる立場だけに、二十歳を過ぎたばかりの若者にしては落ち着いた大人の雰囲気。「ゲームとかは皆で一緒に使うこともありますし、結構仲良しですね」と笑う。自身を追うように、長男と父親も2年ほど前に保存会に入会。家族で青龍祭を後世に伝える。
○…幼稚園の頃から趣味は「囲碁」。社会人サークルで今も続けている。理系男子で、現在は東海大学の理学部数学科3年生。将来は教師を目指している。苦手な科目にあがることも多い数学だが、「数学の好きな子を少しでも増やせたらと思って」と、柔和な表情ながら、志しを熱く語る。