神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
横須賀版 公開:2011年2月11日 エリアトップへ

右半身のリハビリをしながら左手で「色えんぴつ画」を描き続ける 須藤 新一さん 金谷在住 61歳

公開:2011年2月11日

  • LINE
  • hatena

「右がダメなら左があるサ!」

 ○…はがき大のキャンバスに、色鉛筆の柔らかな色合いと繊細な描写―。これを描いているのは、利き手ではない左手だ。

 ○…8年前の5月、脳出血で倒れた。手術で一命は取り留めたが、右半身に麻痺が残った。「現実を受け入れるしかないと思った」。しかし「歩けない、しゃべれないのは嫌だから、リハビリをするのは当然のこと」と強い心が芽生えていた。病院の消灯時間を延ばしてもらい、リハビリに専念した。目標は1日1万歩。周囲も驚く意欲の源は、「自分ひとりで歩きたい」―ただその思いだけ。退院後も、自宅のある金谷から北久里浜まで、週1回の通所リハビリへは4Kmの道のりを歩いて往復。その成果もあり、介護1から支援1へ状態も改善。「歩ける環境にあることが何よりも嬉しい」。

 ○…幼い頃から絵が好きだったことが高じて、デザイン会社に就職し、独立。ポスターやチラシのデザインに携わっていた。リハビリ中も自分の中につのる「絵が描きたい」という気持ち。右手はリハビリ、そして「左しかないんだから、やってみよう」。入院中、手に取ったのが色鉛筆だった。いつしか繊細に描けるようになっていた。退院後、毎日通っている池上市民プラザでいつものように絵を描いていたところ、顔見知りに「100枚描いてほしい」と頼まれた。目標と生きがいがもう一つ増えた。これを機に先月、横須賀学院の同窓生らと個展を行う機会も得た。用意した絵は完売。「次も期待に応えたい、もっと上手くなりたい」。新たな目標に向けて、制作に時間を割く日々だ。

 ○…「右がダメなら左があるサ!」―池上の妙蔵寺に依頼された講話で、そう語ったという。「今までとは生きるスピードが違うけど、左手の世界も面白いと思えるようになった」といたってポジティブ。「支えてくれた家族や友人への感謝の気持ちを、自分の生きる姿で伝えたい」。そう語ると、再び色鉛筆を手に取った。
 

横須賀版の人物風土記最新6

新谷 健(たけし)さん

娯楽劇を演じる市民劇団「浜の隠居の会ぷらす」の代表を務める

新谷 健(たけし)さん

鴨居在住 68歳

3月22日

山田 裕子さん

鉄道ファンコミュニティ「よこすか子鉄くらぶ」を主宰する

山田 裕子さん

野比在住 49歳

3月15日

岩間 道夫さん

横須賀災害ボランティアネットワークの会の代表を務める

岩間 道夫さん

鴨居在住 74歳

3月8日

麦島 康友さん

空き家を再生して民泊施設をつくりだすプロジェクトを立ち上げた

麦島 康友さん

浦賀在住 43歳

3月1日

杉村 大豪(たいご)さん

市町村の代表選手で競われる「かながわ駅伝」で2区区間賞を獲得した

杉村 大豪(たいご)さん

林在住 15歳

2月23日

伊藤 潤子さん

横須賀の魅力を紹介するWEBマガジン「KNOT(ノット)」を立ち上げた

伊藤 潤子さん

久里浜在住 43歳

2月16日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 3月22日0:00更新

  • 3月15日0:00更新

  • 3月8日0:00更新

横須賀版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

横須賀版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年3月26日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook