太陽光発電に高い関心 不透明な電力事情や補助制度追い風に
東日本大震災による電力不足などを背景に、住宅用太陽光発電システムに対するニーズが高まっている。設置費用の一部を横須賀市が負担する補助制度の申請件数が、申請受付が始まった先月15日から1ヵ月で117件(5月16日現在)に上った。昨年度よりも速いペースで申請が相次ぎ、市では7月中には予定枠の230件に到達すると見込んでいる。夏の電力事情が依然として不透明なこともあり、今後も市民の注目を集めそうだ。
停電対策で需要拡大
同補助制度の対象者は主に、横須賀市内の既設住宅に未使用の発電システムを設置する人か、システムが設置された住宅を購入する人。神奈川県の補助金も市が窓口となっている。
補助額は市、県ともに出力1キロワットあたり1万5千円で、上限は5万2千円。国の補助額は1キロワットあたり4万8千円で、国の委任機関が窓口となっている。
市環境政策部環境企画課によると、今月16日時点での申請件数は117件。内訳は既設住宅が70件、新築住宅が47件だという。昨年度の同時期が91件だったことから、より速いペースで申請が相次いでいることが分かる。昨年度の同補助制度は7月末には交付予定件数の200件に到達した。今年度は昨年度より30件多い230件が予定枠だが、市の見込みでは、7月中に到達する勢いだ。
同課担当者は、全体的な把握には至っていないとしながらも、「太陽光発電システムに対する興味の増加に加え、震災や計画停電の影響から設置補助の申請増加に至っている」と分析している。夏場の電力事情が依然として不透明なこともあり、今後も同システムの設置を検討する家庭は増えそうだ。
一方、黒岩祐治県知事は4月の選挙時に、ソーラーパネルを県内200万戸に実質無償で設置する政策を掲げ当選。県はこれから具体策を明らかにする見通しだ。この政策を受け”補助”よりも”無償”を期待する市民が早い段階でのパネル設置を見送る可能性について、同課では「今のところ未知数の部分がある」とコメント。少数ながら市民からの問合せもあり「今後の動向を見守っている印象がある」と話している。
蓄電で一部誤解も
太陽光パネルの設置、販売などを手掛ける市内業者の声はさまざま。
(株)サンエー(池上)では、国・県・市の補助金が重複して受けられることや、余剰電力を10年間固定で電力会社が買い取る制度も需要を後押ししているとの見方を示す。「(設置の)頭金や月々の支払いが不要になるケースも増えている」と話す。
また、今年2月に同システムのショールームを市内武に開設した(株)サガミ(衣笠町)によると、同社に寄せられた相談件数は昨年比で5倍以上に増えたという。計画停電の対応策として関心が高まる一方で、「(太陽光パネルで)発電した電気を自宅で蓄電できると間違った解釈をしている人も少なくない」とし、相談会を開くなど事前説明を積極的に行っている。
(株)スカイテック(久里浜)にも、震災後、太陽光発電に関する問合せが多く寄せられているという。その一方で、黒岩知事の政策により「設置を見送る人が増えている印象」と話している。
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