新港埠頭、液状化の可能性 市議会で市長「地質調査行い対応」
改選後初の定例会となる横須賀市議会(第2回定例会)で今月8日、9日に本会議が開かれ、13人が一般質問に立った。先の東日本大震災を受け、津波の避難場所や住宅の耐震化など防災関連の質問が集中。関東での大規模地震発生時に液状化の危険性が高いとされる新港埠頭に移転計画のある横須賀市救急医療センターに関して、吉田雄人市長は「十分な地質調査を行い液状化に対応していく」と述べた。
津波避難場所設定していない
震源別での津波被害想定を質問し、その調査・対策を市が独自で作成することを提言したのは一柳洋議員(ニューウィング横須賀)。「どのプレート境界を震源とする地震が発生したら、どの方向からいかなる速度で津波が来るのかを早く把握すること」が必要だと指摘した。また、井坂新哉議員(日本共産党)は、東日本大震災では避難場所も津波被害を受けたことから、市内の避難場所の見直しについて質問した。
吉田市長は、市内に津波の影響がある地震として南関東地震をあげ、相模湾側で4メートル、東京湾側で2メートル程度の津波が想定されていると答えた。一方、市では津波に対する避難場所は設定していないとし、「強い揺れを感じたら、できるだけ高いところに逃げるようお願いしている。避難の目安となるように、市内の公共施設などに標高表示などをしていきたい」と述べた。こうした答弁を受け一柳議員は「震源別に何メートルの高さまで逃げるべきというデータを市民に提供すべき」と一問一答でただすと、市長は津波の想定には専門的な考え方が必要とした上で、「過去に起きた地震の記録をベースに、津波を想定した9月の避難訓練に盛り込んでいきたい」と答えた。
県の被害想定海岸沿いが液状化
また渡辺光一議員(自民党)、岩崎絵美議員(無会派)、岩沢章夫議員(公明党)、藤野英明議員(無会派)らは市内の液状化現象と対策について取り上げた。
神奈川県の地震被害想定調査(平成21年)によると、横須賀市の海岸沿いは三浦半島断層群の地震など、複数の大規模地震で「液状化の可能性がかなり高い」とされている。このため、横須賀市救急医療センター、裁判所、警察署などの移転先として整備計画が進められている新港埠頭について、その地盤や地質調査に関する市の認識をただす声が相次いだ。
市長は救急医療センターに関して、今後ボーリング調査を12箇所行う予定を明らかにし、岩崎議員の質問に答えた。その結果を踏まえ、同センターが震災に強い施設になるよう設計に反映するとした。建物周辺の道路などインフラの液状化について藤野議員が質問すると、市長は「(液状化の)可能性はあり得る」との認識を示した。こうした場所に医療センターや警察署などの救護・防災の拠点を移すことで災害時に対応が遅れるとの懸念を示した藤野議員に対して、「災害復旧の体制づくりの方が大事」などと答弁した。
このほか、岩沢議員は住宅耐震化の促進について質問。市長は人的被害を軽減する有効な対策との認識を示し、耐震補強工事費の2分の1を市が補助する助成事業を「より一層PRし促進していきたい」と述べた。
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