神奈川の頂点まであと一歩―。第90回全国高校サッカー選手権大会神奈川県予選の決勝戦が今月12日、ニッパツ三ツ沢球技場(横浜市)で開かれ、三浦学苑が桐光学園と対戦。決勝初進出の勢いに乗り優勝の期待が高まったが、1─2で惜しくも敗れた。だが、応援に駆けつけた保護者やクラスメートらは、「よく戦ってくれた」と健闘をたたえ、「来年が楽しみ」と早くも期待の声が聞かれた。
三浦学苑サッカー部は、レギュラーの半数以上が横須賀市内の中学校やクラブチームの出身の、地元色が強いチーム。
もうひとつの特徴がレギュラーの大半を2年生が占めるチーム編成だ。その象徴ともいえるのが、今夏、神奈川県が中国と韓国に県選抜の選手団を派遣した「三県省道スポーツ交流事業」だ。同校から選ばれた木村哲太選手(浦賀中出身)、宮坂瑠選手(衣笠中出身)、野村徹選手(横浜市立金沢中出身)は3人とも2年生。海外で経験を積んだ選手がチームの中核を成している。
主将としてチームを引っ張ったのが、3年生の大橋琢也選手(鎌倉市立岩瀬中出身)。大橋選手が小学校時代にプレーしていた「あわふねフットボールクラブ」でアドバイザーを務める井坂貴之さんは「負けん気が強い一方で、人を思いやる優しい子でした」と振り返る。
同校は創立80周年を迎えた平成21年、ナイター照明を備えた人工芝グラウンドを整備。天候に左右されることなく練習を積めるようになった。この年はインターハイ県予選3位の快進撃を遂げた。
しかし今年度は、関東大会予選、インターハイ県予選ともに”ベスト16止まり”。更なる進化を目指して選んだ手法が、夏休み中に強豪チームとの練習試合をひたすら繰り返すことだった。その試合数は30に及んだ。どこよりも実戦経験を積み、個々もレベルアップ。迎えた今大会の2次予選では、1回戦から準決勝までの5試合で15得点する攻撃力を見せた。
”三浦ブルー”まとって
その勢いのまま迎えた初の決勝。三ツ沢球技場の三浦学苑側応援席には、全校生徒と保護者や卒業生らが集結した。ブルーのユニホームを身にまとったサッカー部員が、メガホンを片手に声を張り上げ、応援の音頭をとった(=写真左下)。
前半は、一進一退の攻防だった。34分に先制されるも、その1分後、コーナーキックからのセットプレー。ゴールキーパーがはじいたこぼれ球を、宮坂選手がダイレクトシュートで同点ゴールを決めた。失点のピンチにも、ゴール前で堅い守りを見せるなど、宮坂選手は攻守にわたり活躍した。
しかし、後半開始直後に勝ち越し点を奪われ、その後は選手の足が止まった。相手チームの猛攻に防戦一方。力の差を見せ付けられ、そのまま試合終了のホイッスルが鳴った。
うなだれるチームメートに大橋主将は整列をうながし、最後までチームを引っ張った。井坂さんもスタンドから「よく後輩たちをまとめてくれた」と賞賛を送った。
得点した宮坂選手の父親の哲史さんは唇をかみながらも「(選手たちは)一生懸命頑張った。胸を張ってほしい。来年もこの場所で応援したい」と誇らしげに語った。
同校サッカー部OBの安西亮さん(20)はこの日、京都から応援に駆けつけた。卒業した年に現在の3年生が入学したため直接の接点は無いが、後輩の活躍はニュースで知ったという。前半は「少ないボールタッチで桐光ゴールに迫る攻撃に可能性を感じました」と振り返り「結果は負けてしまいましたが(スタメンは2年生が中心のため)来年が楽しみ。また応援に来たい」とコメントした。
市サッカー協会は、市内の小学生チームに応援を呼びかけ駆けつけた。「手本となるプレーを見せてくれた(三浦の選手に)憧れを抱いた子どももいるだろう。地域のサッカー熱が高まった」と話していた。
敗れはしたものの、今後の活躍も期待されている三浦学苑イレブン。選手は悔しさを胸に、リベンジを誓う。
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