横須賀天文研究会(スカ天)の事務局をつとめる 渡邊 康徳さん 小矢部在住 53歳
宇宙の宝石に魅せられて
○…今年は金環日食をはじめ、金星の太陽面通過や木星食など天文現象が目白押しの当たり年。天体を見れば、人間の暮らす地球の素晴らしさが分かるという持論から「地球を大切に思う心を養う1年になれば」と観測会や講習会を精力的に開催する。しかし、ブームはいつか下火となる。一過性にしないためにも、注目を浴びている今こそ空を見上げる楽しさや惑星の美しさを多くの人に伝えたい。
○…生まれは山梨県。屋根の上に上って寝そべりながら、頭上に瞬く満点の星をのんびり眺めることが好きだった。「あの一番明るい星はなんだろう」些細な疑問が1つずつ知識へ変わるたびに、宇宙の広さを知った。やがて探究心が駆り立てられ、自作の望遠鏡を覘きこんでは遥か彼方のまだ知らない宇宙に想いを馳せた。そんな少年は大人となり、現在天文歴43年。自他共に認める筋金入りの天文ファンへと変貌を遂げた。
○…天文観察の魅力は、「地上にない美しい世界を手に取るような近さで体感できること」これに尽きる。気象によって刻一刻と変化するため、今日と同じ空は明日見ることはできない儚さもまた一興。1つとして同じ空はないからこそ、毎日新鮮な気持ちで見上げることができるのだ。「だからこそ、人生1日たりとも無駄にはできないのだと実感しています」3・11を境に、この想いは日に日に強くなっている。
○…星への情熱は人並みを外れ、夜通し語っても到底足りない。結婚前、奥さんとのデートで度々夜空を見に出掛けたこともある。一見、ロマンチックな恋愛話だが「この星がこうで…」と彼女そっちのけで熱く語ったちょっと苦い想い出が蘇る。そして今日も星に興味のない家族をよそに、マイペースに観測を続ける。「21日の金環日食?もちろん会社は休みます。仕事なんて手につきませんよ」楽しそうに話す姿はまるで一等星のようにキラキラと輝く無邪気な笑顔だった。
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