開国花火、1万発に戻らず 新港開発で観覧場所減少
来週14日(土)に開催される「久里浜ペリー祭」の花火大会を皮切りに、市内では今夏も各所で大小さまざまな規模の花火大会が予定されている。昨年は東日本大震災を受け、主催者の多くが規模縮小や一部では中止を選択した。果たして今年はどう変わったのか。開催目前に迫った各地の花火事情を取材した。
昨年並み4千発
市内の一大イベント「よこすか開国祭」。例年、フィナーレを飾る最終日の開国花火大会は「県内最大規模」をうたい、約1万発を打ち上げていた。米海軍横須賀基地を開放する「ネイビーフレンドシップデー」が同日開催されることもあり、この日1日の人出は20万人を超えていた。
しかし、震災のあった昨年、市は地域経済活性化の観点から「開催」することを決めた一方で、花火を4千発に「縮小」した。担当者は「開催決定が遅れ、宣伝等が十分でなかった」と話すが、逗子や鎌倉など近隣の花火大会が中止になったことも影響してか、この日は16万人を超える見物客が詰めかけた。
今年の開国祭は、7月29日(日)から8月4日(土)までの開催が決まっている。最終日4日の花火大会の規模は「昨年を踏襲して」(同担当者)、約4千発の打ち上げを予定している。震災前の1万発に戻さない理由について同担当者は「観覧会場として使用してきた湾岸部への立ち入りが、裁判所庁舎や国の合同庁舎の建設などで制限されるようになり、年々会場が少なくなっている。大規模にすると来場客の収容が間に合わず、安全面を考慮すると縮小はやむを得ない」と話す。
一方、昨年は発売されなかった「市民協賛席」を今年は5千席用意(一席2千円)。安全面を配慮するとともに、自主財源の確保にも積極姿勢を見せる。
各地の花火事情は
14日開催の久里浜ペリー祭の花火大会では、主催者側は協賛金の減少にあえぐ。今年は約3500発の打ち上げを予定しているが、協賛金の集まり具合は年々悪くなっているという。震災はそれに追い打ちをかける格好となった。
その一方で、「警備や会場から出るゴミの処分などにかかる経費は増大している」と、主催団体のひとつ久里浜商店会協同組合の森下守久理事長はこぼす。花火大会を将来継続していくために、商店会加盟店に募金箱を設置して市民からの支援を募っている。今後の展望としては「市の補助金や企業の協賛金に頼るのではなく、市民が自らの手で開催する形式にシフトしていきたい」と話している。
浦賀では、約60年続く「浦賀みなとまつり」が8月18日(土)に開催される。今年も例年通り500発が打ち上げられる。この花火大会は町内会からの寄付金が主な財源。その額は年々微減するものの、「地元に根付いた行事とあって、地域住民の協力を得ることができ規模に影響が出るほどではない」と担当者は話す。
震災の影響で昨年は中止になったものが復活するケースもある。例年、市内で最後に開催されていた「西地区納涼花火大会」は今年の開催が8月25日(水)に決定。自衛隊武山駐屯地から、横須賀の夏を締めくくる花火が打ち上がる。
近隣では?
逗子市では、例年8月に実施していた花火大会(昨年は中止)を今年初めて6月初旬に開催。砂浜に海の家が並び見物客を収容しきれなかったため、今回時期をずらしたところ好評を得た。三浦市では、40年以上続いた「三崎みなと祭り花火大会」が、事業所廃業による協賛金の減少により2009年で中止された。
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