11回目を数える「よこすかさかな祭り」の運営を切り盛りする 府川 一雄さん 久里浜在住 40歳
魚の価値は伝えてこそ
○…旬の新鮮魚介を威勢よく振る舞う「さかな祭り」。朝市に地魚料理、目方当てクイズなど産地ならではの企画が目白押しだ。秋の定番イベントには毎回1万5千人の客足がある。全国的な漁獲量の減少傾向に若い世代を中心とした魚離れ。業界を取り巻く環境は決しては楽観できるものではないが、「日本人の『魚嫌い』が増えたわけではない」と笑顔できっぱり。「魚が健康食であること、美味しい食べ方が沢山あることを伝える努力が足りなかっただけ」。イベントの狙いはひとつ。「まずは魚に目を向けさせること」
○…販売の主流がスーパー・量販店となって久しい。消費者の「買いやすく・食べやすく」は時代のニーズだが、そればかりでは日本の食文化は破壊されていく。「たとえばメバルやカサゴ。骨が多いと敬遠されがちだが、料理の仕方さえ覚えてもらえばこれほど美味なものはない」。対面で販売する鮮魚店がその役割を担っていたが、今では叶わなくなっている。「サンマのはらわたは初物に限る。ウロコを飲んでいないから雑味がない─かつては街角の魚屋ではこんな話が飛び交っていたはず」。魚を語り伝えることの大切さを強く感じている。
○…横須賀には「地産地消」を推進する風が吹いている。地元漁業者は既存の漁だけでなく、タイの放流やカキやアワビの養殖などの栽培漁業で新たな活路を見出そうとしている。飲食店も個性的な地魚料理の提供で差別化や新たな顧客開拓に躍起。自身の会社でも網にかかった未利用魚を燻製加工して販売する新ビジネスが好調だ。
○…来年創業100周年を迎える民設民営の魚市場の後継者。今、手がけているのは社史の編纂。時代のすう勢を見極めながら、時の経営者が下してきた判断の積み重ねを学んでいるところだ。若きリーダーは語った。「難しい時代はいつの世も同じ。大切なのは理想を描くこと」
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