よこすかシーサイドマラソン 「走る」プラスの楽しみ提案
総勢6000人のランナーが横須賀東海岸を駆け抜ける市内最大のマラソン大会「よこすかシーサイドマラソン」が11月25日(日)、横須賀東海岸沿いをコースに行われる。今回で37回目。全国的に沸騰するランニングブームを受けて、ハーフコースは募集開始から数時間で定員締切になるほどの人気ぶり。この勢いを地域活性化のテコにしようとする動きが活発化している。取り組みを追った。
同大会は1976年に参加者約300人でスタートした市民マラソン。まちづくり団体の横須賀青年会議所(=横須賀JC)が手掛ける看板事業で、横須賀市陸上競技協会との共催で大会を運営している。
数年前から参加ランナーは5000人を超え、応援のために会場に集まる人の数は優に1万人を数えるようになった。横須賀JCでは、この好状況を経済波及を含めた地域活性化につなげようと、協力者を巻き込んでの仕掛けづくりにこの1年を費やしてきた。
「スポーツ弁当」
最初に目を付けたのが食の開発。県立保健福祉大学の鈴木志保子教授に、レース後に食べる地産地消の弁当開発を依頼した。
同ゼミは試行錯誤を繰り返しながら、運動後の疲労回復をテーマにした弁当レシピを編み出した。糖質摂取が素早くできるおにぎりをメインに具材からおかず、デザートまですべて横須賀にちなんだ内容にまとめた。タイムと走行距離、体重から割り出せるエネルギー消費量の目安表も作成、弁当のコンセプトシートとともに手渡す。ハーフサイズ(463キロカロリー)を採用したことにも理由がある。「ラン後に素早く朝食でまかないきれなかった分とプラスαの栄養補給をしたら、ゆっくりと帰り支度をして、街歩きを楽しみながら美味しい店を探して」(鈴木志保子教授)とのメッセージを込めている。
大会当日は、同レシピを基に市内の仕出し業者が限定300食を用意。ワンコインの500円で販売する。
商店街に誘導
大会参加後のランナーに中央の商店街での消費行動を促すPRの準備もしている。昼間の時間帯から団体利用できる飲食店と提携、店舗マップを作成し、ランナー限定の割引サービスも設ける。滞在時間を引き延ばすことで観光消費額を増大させる狙いだ。
旅行会社のJTBと提携して、大会参加時のサポートプランも開発。ランニングフォームのチェックや伴走者がペースメイクしてくれるプランを売り出している。将来的には、宿泊までをセットにしたパックプランも手掛けていく考えで、遠方からの参加者も取り込んでいく。
横須賀JCの竹折輝虎理事長は「大会の開催意義は時代とともに変化している。現在は地域活性に力点を置き、各団体との連携を強化中だ。将来的には1万人規模のランナー誘致をめざしたい」と話している。
被災地の中学生迎える
今大会では、福島県郡山市内の中学生ランナー約20人が3キロコースに出場する。横須賀市のスポーツ振興に振り分ける目的で昨年から導入している「チャ リティーラン」制度を活用し、陸上部員らを迎える。誰かのために走る、をスローガンにした「チャリティーラン」の募集枠では、ランナーは参加費とは別に 1000円の寄付金を支払う。今回は921人のエントリーがあり、集まった浄財を中学生の遠征費や滞在費に充てる。
福島では東京電力福島第一原発の事故以降、多くの住民が他県・他市へと避難しており、部活動もままならない状況が続いているという。窮状を知った横須賀市陸上競技協会の役員が、以前から親交のあった郡山市の中学校に大会参加を呼び掛け、実現に至った。
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