横須賀を主な舞台とした短編小説集『初恋の涙』(東京図書出版)を上梓した 川添 用吉さん 小原台在住 76歳
横須賀愛で物語紡ぐ
○…「横須賀賛美」の想いで書き上げた小説には、観音崎公園、観音埼灯台、横須賀中央など身近な場所がいくつも登場する。中には実体験をもとに、〈じじ〉と孫娘が観音崎を散歩しながら俳句を詠む物語もある。家族の絆や命の重みをテーマにいくつものメッセージを込めた。「これからの時代を担う子供たちに、自然や動植物などを全てひっくるめて、横須賀の良さ、人間の良さを伝えていきたいです」と優しく微笑む。
○…生まれは鹿児島県の「長島」。長島要(かなめ)というペンネームにしたのも、故郷を愛するがゆえ。海に囲まれた風光明媚で人情豊かなまち。船が見えて、魚も獲れる。「横須賀と全く一緒です」。たった一言で、情景が目に浮かぶ。その長島に暮らす妹の助言で、故郷を舞台に書いた小説が、前作『長島物語』。今作は「第二の故郷で、終の住処」と表現する横須賀への感謝の想いから執筆した。
○…純真無垢な子供たちが主人公の小説からは想像もつかないが、現役時代は神奈川県警の警察官。窃盗や殺人などの捜査も担当した。物語の中で、小学生の仲良し探偵団が車上荒らしの犯人逮捕に協力する場面があるが、犯行の描写や警官の詰問の様子は確かにリアリティーを感じさせる。周囲からは推理小説やサスペンスを書いてほしいというリクエストもあるというが、これには消極的。殺人事件となると、1冊の小説で4〜5人が被害にあう。たとえフィクションでも、被害者や悲しみに暮れる家族を出したくないのは、警察官ならではの心情だ。
○…囲碁、俳句、散歩と趣味が多彩で、小説にも描く。アイデアは尽きることがなく「いくらでも書けます」と自信をのぞかせる。お気に入りの観音崎を散策しながら、ふっと構想が浮かぶのだという。「次は長編も」。類ない発想力と記憶力が創作意欲を掻きたてる。家族、自然、趣味…。物語の”要”となる題材は、いくらでもある。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>