観音崎公園で3月16日、災害時に役立つアウトドアプログラム「STEP CAMP」を主宰する 寒川一(はじめ)さん 秋谷在住 49歳
楽しんでこそ人生
○…テントを張る、火を起こす、ご飯を炊く。子供から大人までが、楽しみながらアウトドアを体験し、いざという時に役立ててほしい。その”ステップ”になれるようにと今年始めたのが、防災アウトドアプログラム「STEP CAMP」だ。楽しむ事と備える事は相反している部分もある。不謹慎ともとられかねない。「だけど…」と言葉を重ねる。「楽しむ事は人が生きる目的なんだと思います」。どちらかを捨てるのではなく両立させるべき。震災から約2年。そう思えるまでには時間が必要だった。
○…秋谷で遭遇した震災は「体験した事のない長さと揺れでした」。自宅は無事だったが、もしも震源が近かったらと考えると紙一重だった。一方の被災地。避難所の体育館ではダンボールで寝床を作るような環境だったと聞いた。誰か一人だけが寝袋の中でぬくぬくできない。ならば、皆がアウトドア用品を使える状況が必要。その役割が「自分に課せられたとしか言いようがない」と強い眼差しを見せる。
○…会社員の頃は逗子から東京まで片道2時間かけて通勤していた。「反対側に行きたかったですね」。経済が回る都心では、業績や時間で管理される。ストレスを抱える人が増え、張り詰めた空気だった。その中で、自らも「ゆるみ」を欲していたのだろう。都心とは反対にある三浦半島の秋谷で06年、学生時代からの趣味だったアウトドアのショップを開業。「サボリ」をテーマに、焚き火をしながら日没を楽しむといったユニークな企画も行ってきた。
○…ハンモックに揺られて休日をのんびり―。昨年三崎にオープンさせた会員制サボリ施設「昼寝城」には、都心から訪れる人が多いという。「堕落するためではなく、明日からまた頑張るためのサボリがあった方が結果的に元気になれます」。もちろんやるべき事もある。防災もその一つだ。「生きなきゃ人生も楽しめないですから」。それを実践しているような笑顔で語ってくれた。
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