独自の支援で復興後押し 専門分野を活かして取組
東日本大震災からまもなく2年。被災地は復興への道を着実に歩み出しているが、一方で震災の傷跡が癒えていくことで意識や記憶の風化が危ぶまれている。そんな中、自らの専門分野を活かした復興支援に取り組む人々がいる。「忘れずに寄り添うことも一つの支援の形」と話し、東北へエールを送る。
失われた仏像を復元
秋谷で仏具店を営む仏師の梶谷叡正さんは、全国各地から仏像・神輿・神具などの修復を請け負っている。数年前に仕事で知り合った岩手県山田町にある寺の住職から津波で流出した仏像を新たに彫ってほしいと震災から2カ月後に依頼を受けた。山田町は東日本大震災による津波や火災における家屋消失で甚大な被害を受けた地域で、死者・行方不明者は750人に上っている。700年以上続く寺の本堂と墓地は引き波で跡形もなく流され、2年経った今も依然として犠牲者への供養すらままならない状態だ。檀家も被災者でお布施を募ることはできず、政教分離で公的支援を受けることも困難な状態で再建の見通しは立っていない。
住職からは「完成は何年先でもいい」と言われたが、幾度となく現地へ足を運び「実情を知れば知るほど早く奉納したいという気持ちが大きくなった」と梶谷さんは話す。通常業務と並行させながら約1年半かけて仕上げた仏像は不動明王と脇侍の制多迦童子(せいたかどうじ)と矜羯羅(こんがら)童子(どうじ)の3体。3月11日(月)に現地へ搬入する。
今後は地震の揺れで倒れて傷ついた仏像の修復・復元を複数の寺から引き受け、1日でも早く元の姿で被災地に戻れるように1体ずつ作業を行っていく。「復興・復旧という言葉が行き交い、再生が進んでいるように見えるけれど私の復興支援は今始まったばかり」と、長期的なサポートを誓った。
カレーで募金を呼び掛け
3月11日(月)にチャリティーイベントを行うのは、観音崎の「レストランマテリア」のオーナーシェフ天野記行さん。以前働いていた福島は、知り合いの店や当時からの仲間たちが数多く住む思い出の地。しかし福島を取り巻く状況は地震・津波に加えて原発事故による放射能と風評被害と厳しく、苦しみ頑張っている人たちがいる中で何もできない自分にもどかしさを感じていた。同時に時間の経過と共に震災の記憶が風化していく現状に危機感を抱き、「今の自分にできる料理で多くの人に震災を改めて心に刻んでほしい」と復興支援イベントを考えた。「百円+αカレー」と名付け三浦野菜とミートボールの入った特製カレー(1食百円/約3百食限定)を提供する。ただし募金協力してくれた来店者のみ。集まった募金は市を通じて、福島の震災遺児・孤児支援のボランティア団体に寄付される。
場所は鴨居4の1128(観音崎公園ビジターセンター隣り)、時間は午前11時から午後2時まで。
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