横須賀市議会 修正予算案を可決 市長肝いり事業一部認めず
新年度予算を審議する市議会定例会は27日の本会議で、市が提出した1419億4千万円の一般会計当初予算を一部修正して可決した。定住や集客の目玉として予算計上されていた居住体験や美術館の特別企画展の事業を削除。自治基本条例の制定に向けた取り組みも認めなかった。削減額は3576万円となった。
美術館企画「内容が不明確」
議論が白熱したのは25日に開かれた予算決算常任委員会。新政会、公明党、自民党、研政、ニューウィング横須賀の5会派から修正案が出された。
やり玉に挙げられたのは、美術館改革の一環として実施する特別企画展と若い世代の定住を促す新たな仕掛けとして予算計上された居住体験(トライアルステイ)。いずれの事業も削除した内容で修正案が可決された。
特別企画展は、著名なシンガーソングライターに焦点を当てた内容で2万人の集客を見込むもの。市は開催費用の負担金として2千万円を計上していたが、委託する主催者側の意向でアーティスト名や詳細な内容は明らかにしていなかった。これに対して、角井基議員(研政)は「中身の説明がないものを審議できない。現在美術館で開催されている一連の企画展も集客面で苦戦している。本来の美術館の役割とも異なる」と策定過程と投資効果の両面で吉田雄人市長に反対意見をぶつけた。青木哲正議員(新政会)も今年度の美術館の試行企画を「施設の貸付や入館料設定で地方自治法や美術館条例に抵触する部分がある」と疑義を申し立て、市に企画書や契約書の提出を求めた。
居住体験事業についても青木議員は否定論を展開。「夏休み限定では観光気分で利用される」とし、謝礼を支払って居住体験の発信をしてもらう仕組にも異議を唱えた。過去5年間で14億円を投じて実施したファーストマイホーム制度の効果測定や検証ができていないことにも触れ、「五月雨式に事業を進めるべきではない」との見解も述べた。
このほかに、自治基本条例の制定に向けた説明会や出前トークの事業費36万円も削減された。木下憲司議員(自民党)は「12月議会で否決されたばかりで、見直しの方向性も示されていない。拙速だ」と発言した。
一方、27日の本会議では小林伸行議員(無所属)が、「自治基本条例の制定も美術館活用に関しても、提言を行わずに手続き上の不備ばかりを指摘する議会のあり方は問題」と苦言を呈する場面もあった。
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